住宅ローンを組むうえで頭金は有利になるのか?
こうした質問を実務で頂くことがありますが、結論としては頭金を入れることはものすごい大事です!
今回は住宅ローンを組むうえでの頭金の重要性や入れなかった場合との支払額がどのくらい変わるのかをわかりやすく解説していきます。
頭金ありとなしの比較
まず、モデルケースとして物件価格+諸費用で4500万円の資金を必要するにあたり頭金なしの場合と頭金ありの場合の支払いや利息を確認してみましょう。
購入価格4500万
頭金:500万 or 0円
借入金利:0.625%
返済期間:35年
頭金ありの場合
月の返済額:106,058円
利息:4,544,752円
返済総額:44,544,752円
頭金なしの場合
月の返済額:119,316円
利息:5,112,846円
返済総額:50,112,846円
上記を比較した場合、月の支払いは約13000円、利息は約570万と頭金を入れない方が支払い負担が上がっています。
もちろん、単純に借入金額が頭金のない方が増えるのでこれらが上がるのは理解ができるかと思いますが、頭金ありとなしについて同じ条件で比較することは銀行の仕組みによってほぼ不可能なので、実際は頭金なしの負担は更に上がることになります。
フルローンと頭金ありでは金利が変わる
前述では借入額のみを変えて両者を比較しましたが実際は銀行に審査を出す際、頭金なしの場合はありに比べてほぼ間違いなく金利が上がることになります。
銀行の店頭やウェブサイトなど様々なところで住宅ローンの金利を見かける機会がありますが、銀行ローンの回答は個々で金利や借入額などの条件が異なるので厳密には審査に出してみないと正確な情報はわかりません。しかし、自己資金については各銀行が重要視している部分でもあるのです。
ちなみに銀行は主に以下の項目を総合的に判断してあなたに対する借入額や金利を決定します。
- 職業
- 年収
- 勤続年数
- 業種
- 過去の滞納履歴
- 現在の年齢や完済年齢
- 健康状態
- 物件の担保価値
- 自己資金
銀行は融資をするうえで主に上記のような項目を審査し融資額や金利を決定します。その中には自己資金についても見られる項目になるので、こちらが0円(フルローン)となると有りに比べてほぼ確実に条件が悪くなります。
では実際に頭金なしの場合はありに比べて金利がいくらくらい変わるのか?これは実務上の経験になりますが、大半の銀行が0.1~0.3%ほど金利を上乗せして融資をするようになることが多いです。
以上を踏まえて、頭金のなしの場合はありに比べて金利が0.2%上がると仮定し再度計算をしてみます。
頭金ありの場合(金利0.625%)
月の返済額:106,058円
利息:4,544,752円
返済総額:44,544,752円
頭金なしの場合(金利0.825%)▲0.2%
月の返済額:123,391円
利息:6,824,463円
返済総額:51,824,463円
月の支払い、総返済額共に一気に頭金ありとの差が広がりましたね。
ちなみに0.2%金利が上がることによって利息は約170万ほど上がっています。頭金を入れる入れない問題についてはこうした表立って見えない部分の計算も加味して考えるとあるなら絶対出した方が良いという結論になります。
住宅ローン控除を含め頭金を考えよう
ここまでのお話で頭金は入れた方が絶対に良いという話をしましたが、フルローンに対するメリットを一つ話すとそれは住宅ローン控除です。
住宅ローン控除とは年末時点のローン残高に対して0.7%の所得税、引ききれない分は住民税から最大13年間にわたり減税される強力な国の施策です。こちらはフルローンを組むことによってフルに恩恵を受けやすいものとなりますが、実質的な支払を最も減らすためにはこの部分を含めてローンを組むことが大切です。
住宅ローン控除を生かしつつ頭金をいくら入れるかについて検討するにはローン控除の借入限度額と自身の所得税・住民税がいくらなのかを把握することが大切です。
出典:国土交通省
ここで注目するのが借入限度額です。借入限度額とは年末ローン残高の上限を表している数字であり、例えば、省エネ基準適合住宅であると借入限度額が4000万となるので年末残高が4400万だったとしても4000万円×0.7%で減税額を計算されます。
そのため、過剰なフルローンによる借入を行っても年末残高次第ではフルに恩恵を受けれないケースもあり、この借入限度額を上限に飛びでた購入価格を頭金として入れるなどの考えが自己資金を決める上で合理的な判断と言えるでしょう。
検討している住居がどの住宅に属するのかは不動産会社やハウスメーカーに確認しましょう。
所得税と住民税を把握する
住宅ローン減税はすでに支払っている税金からしか還付を受けれないシステムになっているため、最大減税額は個々によって異なる場合があるということを頭にいれておきましょう。
具体的には年収が低いほど支払う所得税が低いため、元々定められている減税額よりも控除額が低くなる可能性があります。
この部分は難しい話になるのですが、例えば長期優良住宅の場合で年末残高が5000万円だった場合、本来最大控除額は35万となるわけですが本人が納めている所得税と住民税が合計25万であった場合に25万円までの減税しか受けれません。
実務上ではこの住宅ローン控除を最大限に生かせない方も多いので、この受けきれない分を頭金に充てるという考えも金利や利息との兼ね合いから金銭的に得をすると言えます。
こちらについては個々で入れる最適な頭金は異なるので一概には言えませんが、頭金はこれらの項目を加味したうえで検討するようにしましょう。また、ローン控除についてもっと知りたい!という方は価格comにおいて住宅ローン控除のシミュレーションができるので興味のある方はやってみてください。