注文住宅の購入から入居までの流れ完全解説

マイホームが欲しいと思って家探しを始める場合、何から手をつければ良いのかわからないという方も多いのではないでしょうか?

それもそのはず。特に注文住宅の場合は設計打ち合わせから建築確認申請まで担当する営業マンでも完璧に把握している人は少ないのでこれから家を建てようと考えている方が全てを網羅しようと思うとその情報量だけで挫折をしてしまうでしょう。

今回は、注文住宅を建てたい方に向けて実際に入居するまでの流れをわかりやすく解説していきます。

今回は土地探しから行う場合を想定して解説していきます。

STEP1:情報収集を行い土地やハウスメーカーの特徴を知る

まず初めに行うことと言えば土地や建物についての情報収集をネットやチラシなどから進めていくことです。

特に土地・建物についてこの段階であらかじめ知っておくべき情報は自分の予算に合ったものであるかということが非常に大切です。

総費用の予算を決めておく

この時点で明確な予算を策定する必要はありませんが、おおよそ支払える月々の金額を把握しておくことは大切です。

現在賃貸暮らしであれば、現在の家賃を目安にするなどです。これをしておかないと元々安すぎたり、手の届かない物件に対して色々情報を仕入れてしまうなど無駄な時間が生まれるためです。

ちなみに正式な予算については後に銀行へローンの審査を行いますので悩むほど真剣に考えなくて大丈夫です。

下記に月々支払いに対していくらの物件が検討できるかの試算を出しているので参考にしてみてください。

月々の支払額金利検討できる物件価格
80000円0.625%(変動金利)3017万円
90000円0.625%3394万円
100000円0.625%3772万円
120000円0.625%4526万円
100000円0.9%3602万円
120000円0.9%4318万円
90000円1.3%(固定金利)3036万円
100000円1.3%3373万円
120000円1.3%4048万円

住宅ローンは景気に応じて金利が変わる変動金利と金利が変わらない固定金利がありますが、それぞれ月々の支払いもとに算出してみると右側のような数字の物件が検討できることになります。

ちなみに金利については実際に銀行へ審査を出してみないとわからないので暫定的に一般的な年収500万のサラリーマンがローン審査をした場合に出るであろう金利を載せています。

例えば自分が変動金利で月10万までの支払いなら頑張れるということであれば3772万程の借り入れをすることになるのでこの数字+自己資金をおおよその予算にするのです。

土地のエリアとハウスメーカーの目星をつける

おおよその予算を決めたうえで検討するのが、土地をどのあたりで検討するのかと建築するハウスメーカーの坪単価を数社調べておくということです。

特にハウスメーカー選びについては低コストを売りにしているローコストメーカーからハイエンドな客層が喜ぶメーカーまで価格帯は様々です。

ここで大まかな予算を決めずに直接ハウスメーカーなどに足を運んでしまうと自社の建築費用に合わせた土地を紹介されるなど自分が考えるプランとはまた別の提案をされてしまうので時間を無駄にしないよう下調べは入念に行いましょう。

希望エリアの土地単価を知っていればハウスメーカー選びもしやすくなります。

STEP2:ハウスメーカーへ足を運ぶ

建築費用面から見る各社の特徴を知った上で、予算周辺に収まりそう且つ建物のデザインや設備が好きなどのメーカーがあれば実際に足を運んで営業マンからお話を聞きましょう。

ちなみにこの時に数社掛け持ちで足を運ぶことも全く問題ありません。ここで各社より具体的な仕様書や坪単価表、モデルハウスの見学などを行って本命となるメーカーを決めるのです。

注文住宅はハウスメーカーの他に地元工務店や設計事務所など様々な所が行っています。それぞれの特徴は以下ですがこれも各社で大分違いますので参考までに。

メリットデメリット
ハウスメーカー・大手運営の安心感
・ローン代行など各種手続きが充実
・施工品質の差が少ない
・工期は短い傾向にある
・モデルハウス充実で見学しやすい
・価格はピンキリ
・決断を急がせる傾向有
・仕様書範囲内対応で自由度は低い
・資金面の確認が最初に有
設計事務所・自由な間取りも可能
・狭小地などの土地も対応できる
・価格が高い傾向
・施工例が確認できない所も有
・工期が長くなる傾向
工務店・地元密着のため建築後も安心感有
・価格は安い傾向
・地元中心で施工実績確認しやすい
・職人の質により品質が変わる可能性有
・最新の工法や設備が非対応の場合も

事前審査を行い資金計画を立てる

メーカーへ足を運び、おおよそでも興味のあるプランを提示されたらより詳細な資金計画を立てるべく銀行へ事前審査の申し込みを行いましょう。

この事前審査は足を運んだハウスメーカーの営業マンに相談すれば手続きのサポートを行ってもらえます。必要なものは主に下記です。

  • 印鑑(認印可)
  • 源泉徴収票(自営は確定申告3期分)
  • 運転免許証
  • 健康保険証
  • 既存の借入関係書類
  • 金融機関から請求される書類

用紙に記入をしてこれらの書類を営業マンに渡せば最短で明日~2週間の間くらいで銀行から回答が出るので、そこで借入可能額やあなたに対する金利がわかります。

事前審査といえど、内容の精度は本審査と大きく変わらないので、この事前回答書を元により詳細なプランニングをしていきましょう。

事前審査を営業マンに頼んだらそこで契約をしないとダメなの?それにそもそもどの銀行で審査を出せばいいのか?

事前審査を頼んだからと言って、そこのハウスメーカーで契約をする必要は全くありません。何せ人生で最も大きな買い物をするわけですから。

余談ですが、私自身も他社競合した際に事前審査まで進んで最終的に他社に決められたお客様も多かったですし、その逆もありましたからね。

また、そもそもどの銀行で事前審査を出せばいいのか?については担当の営業マンからアドバイスをもらいましょう。

ハウスメーカーに勤めていると嫌というほど銀行の担当者が来店してネットに載せられない各社の特徴を説明してくれるので営業マンは意外とローンについて詳しいです。

お客様の仕事や勤続年数、年収や家族構成などを一通りヒアリングさせて頂ければ、○○銀行なら一番良い条件が引き出せそうだな・・・と提案する銀行を決められるので、この部分は営業マンを頼るのが素直におすすめです。

STEP3:購入する土地とハウスメーカーを決める

事前審査の回答が無事に出ると予算面がほぼ確定する形になるので、あとは予算内で収まる土地と建物を決めるステップに入ります。

この段階で土地については候補がいくかに絞られている場合がほとんどですが、万が一納得できる土地が出ていないという場合は新物件が出るまで少し待つことも一つの手ではあります。

また、予算を上げられるということであれば話は変わりますが、多くの場合で全ての理想を満たす土地というものは存在せず、一定の妥協なども現実的な視点では必要な部分です。

自分自身が「予算」という枠の中で、土地優先で考えるのか、建物優先で考えるのかによってそれぞれの答えは変わってくるでしょう。

ちなみに予算内で全ての理想を満たせないという方は下記の部分で費用の調整してみてください。

土地優先の場合建物面積を下げる
ローコストメーカーを検討する
建物優先の場合バス便のエリアを選ぶ
前面道路の幅員が狭い物土地を選ぶ
建築条件付き土地を選ぶ

この場面では土地とハウスメーカーを同時に決断することが後の手続き上スムーズですが、土地のみを先行してハウスメーカーとは他の不動産業者から購入することもできます。

土地だけ先に購入しても住宅ローンとして組むことはできる?

住宅ローンは金利面やローン控除など一般的な貸付と比べると大幅に優遇をされているものですが制限も色々とあります。

このケースだと、建物完成までのあいだ一時的貸し付けてくれるつなぎ融資もしくは土地代と建物代の2回分を分割融資という方法で融資してくれる金融機関を利用することになります。

しかしながら、つなぎ融資の場合は金利分の負担が住宅ローンに比べ大きくなってしまうこと、分割融資の場合も住宅を建てる前提で使える住宅ローンになるので、ローン審査の段階で建築プランや建物代込みの資金計画書の提出を求められるため各銀行によって「○○カ月以内に建築してください」など建築までの条件が付くことが多いです。

つなぎ融資のイメージ

分割融資のイメージ

つなぎ融資は住宅ローンが実行されるまでの一時的な借り入れ。
分割融資は土地と建物の融資審査を一括して行う方法です。

この部分については長くなるので別記事で解説を予定しております。

STEP4:土地の売買契約を交わす

建築をする土地を決めた際には土地の売買契約を行います。この時点で数社の候補となるハウスメーカーから設計プランを提示されたり仕様の説明を十分に受けているはずなのでハウスメーカーについても本命を決めます。

そして土地とおおよそ煮詰まった建物プランに対して金額が見えてくるのでその金額を元に再度住宅ローンの事前審査を行います。(STEP2の時と土地とプランが代わっている場合)

ちなみに注文住宅の場合、外構費用や後々間取り変更やオプションの追加があって総費用が変わる可能性があるので多くのハウスメーカーでは若干余裕を持った借入金額で住宅ローンの審査にかけることが多いです。

住宅ローンの借入額が建物完成時の決済で結果的に余った場合はどうするのかというと繰り上げ返済をするのが一般的ですが、金融機関によって家具代に充ててもよいなど対応は様々です。

実務上では土地の売買契約と住宅ローンの仮審査は同日~翌日に行います。土地の売買契約時に必要なものは以下です。

  • 手付金
  • 印紙代
  • 印鑑
  • 免許証などの本人確認書類

STEP5:設計打ち合わせを重ね請負契約をする

土地の契約を終えると続いては建物の契約である「請負契約」をハウスメーカーと結ぶことになります。

しかし、この時点で建築プランがまだ確定をしていないという方も多く、ここで本命のハウスメーカーに対して詳細な部分まで営業マンや設計士と共にプランの設計を行い金額を確定させていきます。

土地契約から請負契約の期間は人により異なりますが、おおよそ3か月以内になることが多いです。(ローン条件等により期間は個々で変わる)

また、人によっては設計の段階ですごい迷われて中々プランが決まらない方も多いのですが、この時点で最優先で行うべきことは間取りを確定させることです。

請負契約後にハウスメーカーは建築確認申請を役所に提出しに行くのですが、間取りが決まらないと申請ができないためです。

かといって建築確認を行った後から間取りを変更することは基本的にできないのでこの段階で慌てないよう間取りについては事前に家族で話し合っておくとよいでしょう。

反対に壁紙などの内装関係は請負契約後も打ち合わせを重ねて決めるケースが多いです。

【請負契約時に必要なもの】

  • 手付金
  • 印紙代
  • 印鑑
  • 免許証など本人確認書類

STEP:6:建築確認申請をする

設計打ち合わせを重ねて間取りを確定させると、ハウスメーカーはこれから家を建てる旨を伝える申請となる「建築確認申請」を役所に行います。

なお、この部分は施主側にとっては特に行う手続きではありませんが、前述したようにここで建物の間取りや設備を確定させる必要があるので可能であれば家探しの段階から間取りやキッチンと言った室内設備は家族間で話し合っておくことが非常に大切です。

間取りが一向に決まらず着工に進めない方も実は多いです。そうなると引き渡しがどんどん遅くなるはめに・・・

なお、建築確認申請後にどうしても間取りを変更したいと言う場合は「計画変更申請」を行うことでできないこともないですが、これは費用面や工期が大幅に変わってしまう可能性があるため引き受けてくれないハウスメーカーが多いです。

STEP7:住宅ローン本申込をする

請負契約をするまでの間に事前審査の回答が出ているはずなので、この時点で土地が決まり、建物の間取りが決まり、ローンの借入額が決まりました。

ここまでくると内装・外構費用以外で大きな費用の変更は起きないはずなので、諸費用含め正確な金額がほぼ確定している状態になります。そこでいよいよ住宅ローンの本申込を行います。

ちなみに事前審査を通過していれば、本審査もよほどのことがない限り通過できると考えてよいでしょう。本審査時に必要なものは金融機関により異なりますが主に以下となります。

  • 事前審査回答書
  • 源泉徴収票
  • 住民票(同居者の記載あるもの)
  • 課税証明書
  • 免許証などの本人確認書類
  • 印鑑証明
  • 健康保険証
  • 実印

この時点で実印と印鑑証明が必要となることが多いです。家を買おうと思ったら早めに役所へ行き実印登録をしておきましょう。

住宅ローンの本申込は金融機関によって異なりますが、ハウスメーカー側の店舗や銀行のローンセンターで行います。

STEP8:金消契約を行う

住宅ローンの本申込が無事に通過し、融資内定がおりると正式にお金を借りる契約となる「金消契約」を銀行のローンセンターで行います。

注意点としては銀行は主に平日のみ営業としているところが多いので、会社員の方は有給休暇を使うなどして日程を確保する必要があります。なお、ローンの日程と金消契約に必要なものは主に以下です。

  • 銀行印
  • 通帳(申込金融機関のもの)
  • 免許証等の本人確認書類
  • 土地の売買契約書
  • 建物の請負契約書
  • 実印
  • その他銀行から求められる書類

この辺りから必要書類集めや平日に銀行へ向かうなど慌ただしくなるので本業と重ならないよう気を付けましょう。

STEP9:土地の決済

金銭消費貸借契約を行うと正式に借入が可能となるので、土地の決済が行えるようになります。

実務上では金消契約から10日以内に土地決済を迎えることが多く、この土地決済についても借入をする銀行のブースを使って行うので平日に有給を取得するなどして参加できるようにしておく必要があります。

決済では、契約の関係者である不動産会社、司法書士、銀行担当員、売主、買主などが一同に会し土地の所有権移転や抵当権の設定などが行われます。決済時に買主が主に必要となるものは以下です。

  • 通帳
  • 銀行印
  • 実印
  • 免許証などの本人確認書類

どのタイミングで使用するかにもよりますが、自己資金がある方については土地決済前までに口座へ入れておくと安心です。

STEP10:地鎮祭・地盤調査

土地の安全を祈願するために行う地鎮祭ですが、現在こちらは大半のハウスメーカーで任意となっており行わない方も実は結構います。

また、行う場合の費用は3~7万の間になることが多いです。

そして、土地の決済を迎えると所有権が施主側に渡るためこの段階で土地の地盤調査を行います。

地盤調査は資金計画上に計上されているケースがほとんどですが調査の結果、地盤改良工事の必要がないと判断されれば費用が掛からないハウスメーカーが多いです。

地盤改良工事の種類費用
表層改良工法40~60万円
柱状改良工法50~100万円
鋼管杭工法100~200万円

地盤の状態により改良工事の工法が異なります。一番高い鋼管杭工法であると多くの費用が必要となりますが、ハウスメーカーによっては地盤改良費を一律にしているなど対応は様々です。

STEP11:着工と中間金の支払い

土地の決済が終わり、地盤調査・改良も無事に終えるといよいよ建物の着工に入ります。

施主側については特にこれといってすることはありませんが、ハウスメーカーによっては着工時に中間金として30~50%の残金を支払うことがあります。こちらについてもつなぎ融資もしくは分割融資で対応をとる形になるのが一般的です。

STEP12:上棟式

上棟とは屋根を支える棟木を取り付けることであり言い換えれば家の骨組みが完成する作業であります。

最近では木材加工をあらかじめ工場で行うことにより、上棟当日は多くの大工が集まって1日で一気に仕上げるなどの所も多いです。

ここで、上棟式というものが任意で行えます。上棟式とはここまでの作業を無事に終えられたことに対する感謝、そしてこれからの工事が安全に進め為の祈願を行うことを目的としていますが、現在では大工さんを施主側がもてなす意味合いが強いです。

自分の家をどんな人が作っているのかという部分はとても気になることなので、この上棟式については個人的に地鎮祭よりも大切なのかなとも思っています。

本来は神酒や料理を施主側が用意してもてなすものですが、現在はお菓子や飲み物などの差し入れで軽く談笑するだけのケースなどもあり内容は様々です。

STEP13:中間検査

建築がある程度進んだ段階で、第三者機関が建築基準法にのっとって正しく建てられているかを検査する「中間検査」があります。

この段階で施主側がすることはありませんが、可能であればこの際に現場で立ち会うとよいです。なぜならこの中間検査はこの時点でしか見れない構造部分を見ていくものなので、ここを逃すと内部の構造が確認できなくなるからです。

STEP14:完成検査・竣工

工事が無事に完成すると最後に行政による「完成検査」が行われます。ここで検査を終えると「検査済証」が交付されることになり、最後に施主側も設計士や工事監督と共に仕様書や図面通りに建物ができているのかをチェックしていきます。

施主検査ではクロスやドア部分など細かいところにも目を配りましょう。この段階で見つけた傷などは無償で手直ししてくれるケースが多いです。

STEP15:建物金消契約・建物決済

全ての工事が完了したことを確認したら建物部分の残金についてローンを実行し、晴れて引き渡しとなります。

建物決済時も分割融資の場合、金消契約を行った翌週などに決済を行う流れとなるので場合によっては平日に休みを取る必要がでてきます。

決済時に新居の鍵や保証書がハウスメーカーより渡されます。

また賃貸から新居へ入居をする場合、住宅ローンが建物決済後から実行されることになるので家賃と2重払いにならないように引っ越しの段取りなどをしっかりと組んでおきましょう。

引き渡しまでのスケジュール

これから注文住宅を建てるという人に是非一つ話したいことがあります。それは、完成までの間に多くの不安に襲われるということです。

実際、注文住宅って大金を動かすプレッシャーを感じながら完成まで約1年となかなか先に進まないのでそうした部分に不安になる人もいますし、ハウスメーカー側でも予測できないトラブルが発生することだってあります。

それでも、無事に完成をしたときはそんな全ての苦労が吹き飛ぶような喜びを味わえることも多くのお客様を見て私が思ってきたことでありますので是非素敵な注文住宅を実現されてください!

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