普段は事業用、主に貸倉庫の賃貸募集や管理、売買を行う筆者ですが、オーナー様からよく「物件の前面道路が狭いけどこの倉庫に需要はあるのか?」という質問を受けます。
幹線道路や国道沿いのロードサイドなど、それこそ幅員が10mを超えるような道路付けにある倉庫は申込みが殺到するような人気物件になることがありますが、例え前面道路が幹線道路から一本入ったような4mや6mなどの小規模な道路でも問題なく貸せますという回答になります。
今回はいわゆる道路付けが弱い倉庫の需要について解説をしていきます。
倉庫の需要を決める要素
廃業などを機会に所有する倉庫の賃貸を考える際、どういった倉庫に借手が現れるかご存じでしょうか。貸倉庫はネット上ではまだまだ情報の少ないニッチなジャンルとも言えますが主に下記の要件を満たす倉庫は需要が高いと言えます。
- 価格・賃料が安い
- 駐車場がある
- 前面道路が広い
- シャッターの間口や高さがある
貸倉庫は極端な話、車両がおけて雨漏りのリスクがなければ金額次第で必ずと言って良いほど借手は現れます。そして、倉庫の大きさ(坪数)についてですがこれは大きな問題ではなく、むしろ50~100坪程度の小型倉庫の方が実務上では早い段階で成約となることが多いです。
一番大事な部分なのですが、上記4つの項目で最も大きな需要となるのは金額です。例えば、前面道路が広い物件は当然それらの要素を加味した賃料になるので価格は上がります。
対して、道路付けの弱い一本路地に入ったところにあるような倉庫は大通り沿いに比べ賃料が確実に安くなるので中小企業や個人事業主などの借手から魅力的な物件に見られます。
狭くても問題なし?貸倉庫と道路の関係
貸倉庫を貸出す上での道路との関係はやはり通行できる車両制限にあります。例えば、前面道路が4mしか無い場合は40フィートのコンテナ車などを使う事業主にとっては物理的に借りることができない物件となるわけですよね。
しかし、倉庫を利用する業種の中には2tトラックや軽トラだけを使う事業主も当然いるので、そうした事業主にとって見れば大型車が入れないような所にある倉庫は相場的にも安く魅力的なわけです。
ざっくりですが各トラックの寸法を計算すると下記のような条件になります。
10t車 H9000mm×W2400mm
4t車 H6200mm×W2130mm
2t車 H3150×W1800
もちろん、様々なタイプのトラックがあるので一概には言えませんが、例えば10t車の場合だと最低でも道路幅4m以上×間口6.5mはないと進入ができません。また、物件までの道で大型車が通行できない区間がある可能性もあります。
そうなると、物件を借りられる事業主は限られてしまうため需要は弱まり、そもそも小型車両を使う業者にとっても使い勝手が悪いと思われるのではないか・・・と感じるかもしれませんが全く問題ありません。
倉庫の用途は、大半の業者が物の保管です。毎日運搬をする場合はもちろん道路条件が悪いと大変ですが、一度保管をしたら1年間は入れっぱなしと言ったイベント用品の保管業者やメーカーの問い合わせなども必ずと言って良いほどあるからです。
その為、たとえ前面道路が4mだろうが2mだろうが、金額次第で必ず問い合わせは発生すると言えます。
道路条件が悪い倉庫の賃料相場は?
ここまで、道路環境が悪かったり、裏道にあるような倉庫でも需要はあるとお話しましたが、では実際にどのくらいの賃料相場にするのが理想なのか?
これは各地域の成約事例をもとに相場を決めます。例えば筆者の住まう埼玉県内であれば、川越や坂戸と言った県西部は比較的相場が安く坪3000円前後で貸出しされている倉庫もあります。
対して、越谷や三郷など交通のアクセスに優れる県南や東部は相場が高く坪5000円前後で貸出されることもあります。この成約事例というものは不動産業者のみ使えるデータベースや自社物件で実際に貸出しをしている賃料などで算出できるので、是非埼玉県内で貸倉庫の運用を考えている場合は筆者にご相談ください。
豊富なデータとノウハウをもとにオーナー様にとって最大限利益となりながらテナント様を誘致する賃料の算出に努めます。是非、お持ちの倉庫が貸し手が現れないと思う前に一度倉庫業に精通した不動産業者へ相談をしてみてください!