倉庫業を営む上で、貸倉庫内に事務所があれば新たに物件を探す必要もなくとても便利ですよね。
倉庫兼事務所は主に個人で営む自営業者で探されている方が多い印象を受けますが、ネットの物件情報を見ても事務所付きなのかいまいちわからない・・・と思われているのではないでしょうか?
今回は事務所付き倉庫について、倉庫業の不動産仲介・賃貸業務に携わる筆者が知っておくべき情報を解説します。
一般的な事務所付き倉庫
同じ物件内に存在する事務所兼倉庫のパターンとしては主に2種類あり、一つは1階が作業スペース、2階が事務所と言った多層階の物件パターンです。
こちらの物件の特徴としては、1階・2階と複数階になることにより床面積が平屋建て物件よりも長くなるので同じ土地の広さでも家賃が高くなる傾向にあります。
主に倉庫を掲載するポータルサイトで検索をかけると上記のような1階作業場・2階事務所物件の倉庫や予め事務所が増設された物件が見つかりますが、実は倉庫兼事務所物件はそれだけではありません。
倉庫内に簡易的な事務所を増設できることも
倉庫は大半の物件で原状回復を条件に貸出しがされるので、例えば倉庫内に事務所を借り手側で増設して倉庫兼事務所として利用することもできるケースがあります。
この場合は、あくまでオーナーとの交渉を行い了承を得る必要がありますが、実務上では退去する際に貸出し時の状態に戻してくれるなら可とするオーナー様も多いです。
こちらのケースは事務所兼倉庫を探す上で複数階層だとスペースを大幅に余らせてしまうと言った悩みを持つテナント様におすすめができる内容であり、50~100坪程の小規模な倉庫では多くの方が利用されています。
事務所増設の費用は?
倉庫内に事務所を増設する方法は主に2つです。それは室内にプレハブを設置するもしくはパーテーションを使ってスペースを区切る方法が多く取り入れられています。
プレハブを設置
価格:◎
納期:設置型のため早い
最も諸費用を抑えて事務所を設置したい場合はプレハブやユニットハウスと言った簡易的な設備を倉庫内に置くことがおすすめです。プレハブは規格サイズであるため、早いと半日ほどの作業で設置が完了し、コスト面も最も安く済む可能性があります。
デメリットに関して言えば、規格サイズのため置き場所によっては無駄なスペースができてしまったり、デザインなどの自由度が限られてしまうことです。
パーテーションによる間仕切り
価格:○
納期:完成まで1ヶ月程
価格は少し多めに掛かってもより自由な間取りを取りたいという場合はパーテーションによる間仕切り仕様も検討の候補にあがります。こちらは天井に覆うほどの高さに設置をして防音や断熱優れた仕様で施工することも可能なので、倉庫内で来客がある場合などは検討候補にあがるでしょう。
しかしながら、設置のコストがプレハブに比べ大きく上がるので施工面積によっては素直に1階倉庫・2階事務所物件などを賃貸する方が得になるケースもあります。
建築確認申請は必要なのか?
一般的に建築確認申請は建物の用途変更・床面積が増えた場合に行うものであり、倉庫内にプレハブなどの増築を行うことは用途や床面積自体への変更を加えないので確認申請を不要とされています。
しかしながら、この点は自治体によって異なる可能性があるため、物件の所在地を管轄する建築指導課などに必ず確認を取るようにしてください。
【重要】消防法の届け出について
出典:東京消防庁
倉庫内に事務所を増設する場合、消防法による届け出を工事7日前に行う必要があります。これは間仕切りをすることによって倉庫内における空気の流れや火災による避難導線などが変わるためです。
天井まで仕切る間仕切りでは必須となる届け出ですが、市町村によって届出の差異が出る可能性があるのでプレハブの場合なども必要な届け出があるのか必ず確認するようにしましょう。
流れとしては、工事に着手する7日前までに建物住所を管轄する消防署の予防課に連絡を入れます。話し合いの結果、届け出が必要と判断された場合は、上述の防火対象物工事等計画届出書を添付資料と共に提出するのです。
ちなみに、添付資料においては平面図や断面図等が必要となりますが、こちらは契約を行った不動産会社に問い合わせればもらえるはずです。