建売とは不動産会社や建設会社が完成、または完成予定の土地と建物をセットで販売する形態のものを指しますが、これは既に建築プランが決まっている住宅とあって、1から設計を考える必要のある注文住宅よりも大幅に安い金額で購入できるため国内ではポピュラーな存在と言えるものです。
しかし、住宅の購入は大半の方が一生に一度しか経験しないことでもあるため、購入の流れや日程の進み方などいまいちわからない・・・という方も多いのではないでしょうか?
購入する建売住宅を決めた後は・・・実は大忙しです!
今回は建売住宅の購入申込を行ってから物件が実際に引き渡されるまでの流れを住宅ローンを組む前提でわかりやすく解説していこうと思います!
【STEP1】購入申込書を提出する
不動産仲介業者と内見を重ね購入する物件を決めた場合、まず最初にすることは購入申込書を売主へ送ることです。購入申込書とはいわば、「あなたの物件を買います!」という意思表示の書類とも言え、法的な拘束力はありませんがここから全てが始まります。
購入申込書については不動産会社の用意する用紙に購入条件の記入を行い印鑑を押印(認印可)するわけですが、ここで手付金や指値価格、引渡し日の希望など各種条件をいれて売主へ送付を行うのです。
ちなみに購入申込書には以下の条件を記載して送付することが多いです。
手付金の金額
手付金とは、後述する売買契約時に売主へ渡す先払いのお金です。不動産の購入は住宅ローンの融資が売買契約日の後に来ることが一般的なので、住宅ローンをすぐに実行してそのまま引渡しということが中々できません。(引渡しまで一定の時間が掛かると言うことです。)
契約から引渡しまでの時間にタイムラグが発生する以上、売主からすればキャンセルが安易な契約をされては困るわけで、契約に対して重みを持たせる意味合いがあり手付金というものは存在するわけです。
なお、手付金の金額については物件価格の1割が相場など良く言われますが、実務上では50~100万円台で売主が了承してくれるケースも多いです。
購入希望金額
内見をする際は、ほぼ100%不動産業者から販売図面と言われるその物件の面積や間取りなどが記載された情報紙のようなものが渡されますが、そこには現在の物件価格も記載をされていますよね。
もし値下げ交渉をしたいのであれば、この購入申込書の段階で行う必要があり、希望金額を記載してそこから売主と不動産仲介業者間で価格の交渉をしてもらいましょう。
ちなみに、建売住宅の場合は販売時期や環境によって値下げ交渉(指値)が通ることもあれば、通らないこともあります。例えば、建売住宅でも人気エリアにある所では満額で購入をされる方もいると売主が見込めば値下げ断りますし、他者からも購入申込書が来ていればより高い金額で買ってくれる買主を優先するわけですからね。
ちなみにいくらぐらいの金額であれば値下げできる可能性があるのかというと、10~50万円ぐらいでは通ることも割とあると個人的には感じております。中には100万以上の指値を通したケースもありますが、そういう場合は引渡し日を早めるなど何かしらの条件が売主から提示されることもあります。
売買契約希望日
購入申込書は法的な書面でない以上、申込み意思を伝えて次に進むステップは契約です。経験上、建売を販売するハウスメーカーは引渡しを早くできればできるほど良しと考える傾向にあります。
契約希望日については、人それぞれの事情があるため一概には言えませんが、3日~1週間後の間にされる方が多いように感じます。
引渡し希望日
残代金を支払う決済日の希望ですが、これは後述する住宅ローンの審査や入居時期によってまちまちなので、そもそも買付申込書の時点では記入しないことも多いです。
先にスケジュールの話しをしておくと、建売は契約から引渡しまでの期間が短く約1ヶ月~2ヶ月弱の間で話が進んでいくことになります。そのため、購入申込みの時点で引渡し希望日を求められたら申込~契約の期間+1ヶ月を目処に売主へ提示することが多いです。
融資利用の有無
購入申込の時点で、物件を現金で買うのか?住宅ローンを利用するのか?は確実に聞かれる内容です。現金であれば極端な話で契約日と引渡日を同日に行うことも可能ですが、住宅ローンを利用する場合だと融資の審査期間があるため契約日と引渡日がズレるためです。
その他の条件
個別の条件を記載をする事項です。例えば、今回建売を買う理由が転勤をきっかけに住替えする場合、今住んでいる自宅の売却資金で購入するなど、停止条件付き契約を求める場合などに記載します。
もっとも、売主側も確実に購入してくれる顧客なのかを見定めていると言えるので、上記のように現在の自宅が売却できたら買うと言った不明確条件を出されるとお断りを受ける可能性もあります。
購入申込書の提出の時点で申込金が掛かることも
キャンセルはできると言っても、この購入申込書を出した時点で基本的には絶対にキャンセルをしてほしくないというのが不動産仲介会社やハウスメーカーの本音です。
特にこの業界は契約があって初めて報酬が入る仕組みとなっているため、特に仲介会社からすると今まで使った案内の時間や物件を調査してきた時間が全て無駄になってしまうからです。
上記の理由から、売主や不動産仲介会社の中には申込証拠金として購入申込書を提出時点で5~10万の申込証拠金を求めてくる場合がまれにあります。建売については基本的にほとんどのケースで掛からないのですが、お住まいの地域や慣習によって求められるケースもあるので頭に入れておきましょう。
なお、この申込証拠金は契約前のキャンセルであれば返金されます。
ちなみに筆者の企業では売主に言われない限りこうした申込証拠金を求めることはありません。PRになりますが、埼玉県内であれば仲介手数料無料で建売の契約から引渡しまでサポートできますのでご検討ください!
【STEP2】住宅ローン事前審査を行う
STEP1とSTEP2は基本的に同時期に行い、先に住宅ローンの事前審査(仮審査)を行うケースもあります。
言い方に語弊があるかもしれませんが、ローンを利用する場合はそもそもローンが通る見込みがなければ物件を買えない=契約ができないことになりますので、この点は特に売主様から迅速に行うよう指示されることが多々あります。
住宅ローンの流れとしてはまず事前審査を行い、契約後に本審査を行うことが一般的ですが、まず契約まで進むために事前審査を通過する必要があるわけです。
大いにあります。
変動金利を扱うような民間の金融機関で事前審査に通過した場合は、よほどのことが無い限り本審査も通過できると考えられます。それだけ事前審査と言えど精度は高いものになるのです。
ただし、住宅ローンの中には住宅金融支援機構が提供する固定金利のフラット35というローン商品もありますが、こちらの場合は事前審査と本審査の審査内容に異なる部分があるようで、事前で通過できても本審査で落ちてしまうということがたまにあります。
事前審査の回答はいつでる?何処で申込できる?
事前審査については早いところで翌日、遅くても10日あれば回答が出るケースが多いです。
また、一般的な不動産仲介を行う企業であれば予め各金融機関から事前審査申込用紙を渡されていることが多いので、案内をしてくれる不動産業者のアドバイスを聞いて不動産業者の事務所内で事前審査を行うことができます。その際に大体のケースで必要となるものは以下となります。
- 本人確認書類
- 前年度源泉徴収票(自営業者は3年分の確定申告書類)
- 他で借入れしてローンの残高がわかる書類(返済予定表)
- 印鑑
購入申込みをするつもりで内見に行かれる場合は、上記を持参しておくと購入申込書の提出と同時に事前審査を行えるので時間の削減ができます。ただし、不動産業者の中には筆者企業のように事前審査書類予め置いていない所もあるのでこの点は担当の営業に確認しておきましょう。
ちなみに私が会社に事前審査書類を置かない理由については、ローンも物件に購入をする上で非常に大切なものであると認識しているからです。
もちろん、何もわからないからお任せで!と言われれば、お客様の年収や勤続年数などの個人情報を聞いてその方に合うであろうローン商品を提案をすることもありますが、基本的には物件を探している時点で夫婦や家族で相談して固定にするか変動にするかだけでも決めて欲しいと思っているからです。
ローンを自分で決めることはできる?
自分で選ぶこともできます。不動産業者がローンを斡旋する・しないは自由なので、もし0.1%でも優遇金利取れそうなところを狙いたいとか、お世話になっている銀行があるなんて場合はそれらをご自身で選ばれ審査しても大丈夫です。
ただし、ローンの斡旋を無しにすると契約日の調整や決済日など自分で銀行とやり取りを行わないとならない場面もでてくるので手間は増えます。もし、自分でローンを選んで進めたにも関わらず、決済日までに本審査が間に合わなかったなど不測の事態が発生した場合は大変な問題となってしまうので、ご自身で進められる場合は細心の注意を払って進めるようにしましょう。
ネット銀行の利用は注意が必要
最近多いご質問が、明らかに金利が低いという理由でネット銀行を利用したいという声を頂くことがありますが、これはやや注意が必要です。ネット銀行の金利が低い理由の中にシステムの多くを人に頼らず実現しているという側面があるのですが、ネット銀行の場合は対面の窓口がない場合も多いので不動産業者側にとっては扱いづらい銀行となります。
これがどういう意味かと言いますと、大半の不動産業者はネット銀行以外であればローンセンターの担当者と関係を築いていることが多いので、万が一ローンの進行についてわからないことが起きてもそうした銀行の担当者に確認を取ることでお客様に対してある程度のアドバイスを行うことが出来ます。
しかし、ネット銀行の場合であるとそうした窓口や担当者がいないため何か起きても助けてあげることが中々できない現状にあるのです。それにネット銀行では個人で申し込んだ案件に対して、守秘義務を理由に他者に答えてくれることはないので、そもそもお客様の事前審査が正しく申込できているかすら把握できないこともあります。
そのため、ネット銀行を理由する際はお客様一人の力で進めていかなければならない場合もあるので、ある程度の知識や時間がないと苦労する可能性もあるのです。
【STEP3】不動産売買契約を結ぶ
購入申込書を提出し、更には住宅ローンの事前審査の承認を得られた後は、売主から見てもこのお客様は実際に住宅を購入できるお客様と判断されることになるので売買契約のステップへ進みます。
売買契約日には、不動産業者の事務所もしくは売主となるハウスメーカーに足を運び、そこで契約書の調印を行います。実務上では、売買契約日は以下のような流れで進行していき時間にして1~2時間程度の時間が掛かります。
- 重要事項説明
- 売買契約書調印
- 手付金の受領
重要事項説明
重要事項説明とは宅地建物取引士より土地建物の説明を受ける時間で、これは法律で定められていることから省略をすることができません。重説では、その土地の建替え要件や接道の種別、都市計画など、その物件を購入する上で知っておきべき情報が盛りだくさんの内容となっています。
・・・とは言うものの、正直内容の中には一般消費者が聞いても理解できない専門的な内容も含まれるので正直退屈に感じるという方も多いようです。笑
そんな重説は約1時間前後掛かる長丁場の説明となりますが、この重説を聞いて納得のもと重要事項説明書に調印することで売買契約書にも調印ができるようになるのです!
特約事項は特に要確認
重説を聞くにあたって特に大事な部分は特約条項になります。説明の場所で言えば、最終盤となるこの特約は物件個々の事情を組み込んだ内容の部分となるので、その物件に対して特に注意を促している条文とも言えます。
例えば、その地域が浸水のリスクがある地域だったり、近隣に嫌悪施設があるなど・・・住むにあたって誰もが知りたい情報がそこには載っています。
売買契約書の調印
重説を終えると、正式に契約書を取り交わすステップへそのまま進むことになります。契約書には主に支払金額や条文が盛り込まれていますが、重要事項説明の段階で共通する部分のほとんどは説明を終えているはずですので、契約書の調印自体にそれほど時間は掛かりません。
そして、この契約書に調印をすると決められた期日までに各々が引渡し・決済に向け動く事になります。
買主側の視点で言えば、契約書には本審査のローン承認をいつまでにもらわなければならないなど期日が決められているので、すぐに銀行の審査へ向かうことになります。
手付金を渡す
契約前に決めた手付金についてはこの段階で売主に渡すことが一般的です。購入申込書を出した段階から手付金額は話し合って決めているはずですのでその金額を売主に渡し、売主は買主へ領収書を渡します。
【STEP4】住宅ローン本審査を受ける
売買契約書で結んだ【融資承認取得期日】までに住宅ローンの結果通知を受けなくてはいけないため、事前審査を通過した金融機関に対してすぐさま本審査をかけます。
前述したように、フラット35やネット銀行以外であれば事前審査の精度が高いため、本審査で落ちるというということはあまりないと言えるかもしれません。ちなみにもし本審査でローンに落ちてしまった場合でも一般的に建売住宅の売買契約書には【ローン条項】というものが付けられており、万が一、本審査に落ちてしまった場合は契約後にも違約金なしに解約できるという条項があります。
ただし、契約書の期限までにローンの承認・非承認いずれの場合でも回答はもらわなければならないため、契約後の本審査は同日やその翌日に行うことが一般的です。
建売住宅の場合は後述しますが、引渡しまでの期間がかなり早いため、何をするにしてもすぐに行った方が吉なのです。ちなみに本審査で必要なものについては、大半の金融機関が事前審査の通知に記載をしているので、その用紙に書いてある書類を契約日には既に準備しておきましょう。
ただし、住民票や課税証明など役所で発行できる書類を求められた場合は原則として現在から3ヶ月以内の書類でなくてはならないため、去年取ったものを提出するとかそういうことはできません。この期間は、役所に行ったりすることが多いので土日休みの方はかなり忙しくなる傾向にあります。
なお、契約書を結んでからいつまでに本審査を回答を受けなければならないのか?融資承認取得期日は契約からどのくらいの期間が設けられている?という部分ですが、契約日から2~3週間後であることが多いです。
1週間は銀行の審査期間として見ているので、普通にすれば充分間に合う期間が設定されることが多いです。
【STEP5】立ち会い・内覧会
住宅ローンの本審査を行うと売主側も引渡しに関する準備を進めます。続いて行われるのが立ち会いと言われるもので、これは引渡し前に買主・仲介業者・売主の三者が物件へ集まり物件全体のチェックを行い、そこでキズや不具合があれば引渡し前に売主負担によって直してもらうことができます。
またキッチンや換気扇など設備についての説明もありますので、売主からの話をしっかり聞くようにしましょう。
新築住宅のはずなのにキズがあるのか?という問題ですが、これは購入されるまでの間に多くの内見が行われていることから柱や床、クロス剥がれなどが稀に発生するため現地ではくまなくチェックをするようにしましょう。
立ち会いでは主に以下の部分をチェックすることがおすすめです。
- 柱や壁のキズ
- 巾木の割れや欠損がないか
- クロス剥がれ
- ガラスのキズ
- ドアノブの建付け具合
- 土間のタイヤ痕
【STEP6】金消契約をする
住宅ローンの本審査も通過すると、今度は正式に金融機関と借入れを行うための契約を行います。それが金消契約です。
ちなみに金消契約は前述した立ち会いと同日に行うこともあります。足を運ぶ機会を少しでも減らすためにですね。
金消契約は基本的に融資先の銀行へ赴いて契約をしますが、大手銀行や地銀は土日も営業する住宅ローンセンターを置いていることが多いので土日に金消契約をすることも可能です。ただし、土日は予定が埋まりやすい日程でもあるため、予約枠の都合から取れないこともあれば、そもそも申込み先の銀行がローンセンターを周辺に開設していないなんてケースもあるので事前に確認を取りましょう。
金消契約では主に借入額や金利、期間や滞納をしてしまった場合の取り扱いなど融資に関するあらゆる説明がされます。売買契約の時と同じく融資に関する重要事項説明を受け、その後複数の書類に記名押印を行います。時間にすると大体90~120分の間で行われることが多いです。
この金消契約を結ぶことで借入額が確定し、決済日に融資が実行されることになります。
1点、注意点を挙げるとすると建売の引渡しはかなりタイトな日程で進んでいきますが、銀行側から引渡し日を金消契約から5営業日以降にしてくださいと言われることがあります。
建売の場合は引渡し日を契約の時点で決めているので、金消契約についても基本的には本審査が通過したらすぐにスケジュール調整を行うことが大切となります。
【STEP7】残代金決済・引渡し
金消契約で借入を確定させたら後は、決済日に銀行の融資を実行してもらい残代金を売主に送金することで鍵を引き渡してもらえます。
決済は一般的には融資される銀行の応接室を借りて、そこで融資が実行されます。融資金額は一度買主となるあなたの口座へ振り込まれ、そこから支払い伝票を記入し売主の口座や司法書士の口座など各支払先のもとへ送金をされていき、売主が着金を確認できたら鍵の引渡しとなります。
決済の時間は大体1時間半くらいとなりますが、月末や大安などの日程は銀行が混み合うことも多く入金作業がスムーズに進まずそれ以上に時間が掛かると言うこともあります。
ちなみに不動産所有の象徴とも言える権利証についてですが、この場でもらうことはできません。稀に決済日に権利証を求める方がいらっしゃるのですが、権利証については決済日に司法書士が法務局へ赴き登記作業を行うので買主の手元には後日郵送で届くケースが多いです。
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最後になりますが、皆様の素敵なマイホーム生活を実現を切に願っております!