注文住宅と比べてもリーズナブルな価格で理想の住まいを実現できる建売住宅ですが、その価格差から以下のような声をよく聞くことはありませんでしょうか?
実際、キーワードの解析をしてみると建売住宅は安いから冬は寒くないのか・・・と心配されている方が結構いらっしゃいます。今回は建売住宅の性能についての解説です。
注文住宅と比較
結論から言うと、建売は大手ハウスメーカーの注文住宅と比べると当然断熱性能は低いです。
一般的に家の断熱性能を測るにはUA値が活用されていますが、注文住宅は私が調べる限り0.25~0.47の値であることが多いです。(UA値は低いほど優秀)
では建売は?という部分ですが、これは多くメーカーが非公開となっていて正確な数値がわかりません。
しかしながら、現在では全国的に展開する建売メーカーによっては断熱性能をZEH基準相当にまで引き上げている物件も出ているので、そうしたメーカーの建物を選べば過度な心配は不要となるのもまた事実です。
住宅性能評価を取得している建売物件を探す
実際に建売が寒いかどうかは断熱性能を測る指標となるQ値やUa値を知ることですが、この指標って仕様や施工方法によって個々で結果が変わってくるので、正確な数値が公開されていない住宅メーカーも多いです。
では、そんな場合にどう判断をすれば良いのか?それは物件の住宅性能評価を知ることです。住宅性能評価とは国交大臣に登録された第三者評価機関が行う検査のことで簡単に言うと家の成績表のようなものです。
建売を探す上で、不動産会社から必ず販売図面を見せて貰うことになりますが、性能評価を取得している物件は以下のようなマークがついています。
また、新築住宅における性能表示の項目には以下のような10分野32項目(必須項目4分野9項目)があります。
- 構造の安定(地震)
- 火災時の安全性
- 柱・土台の耐久性(劣化軽減)
- 維持管理対策
- 省エネルギー対策
- シックハウス対策
- 窓の対策
- 遮音対策
- 高齢者への配慮
- 防犯対策
この10分野の中で家の寒い暑いに関わるのは省エネルギー対策の分野であり、この分野は更に断熱性能等級・エネルギー消費量の項目に分かれます。購入を検討している建売が寒くないのかはこの部分に注目してメーカーや不動産会社に確認することがおすすめです。
例えば、飯田グループホールディングスの大手パワービルダーである一建設は建売の場合でも以下のような形で等級を取得しています。
出典:一建設HPより
このような形で建売であっても性能面において最高等級を取得しているメーカーが数多くあるのです。
ちなみに、今までは断熱性能の等級4が最高等級となっていましたが2022年4月に等級5が新設されました。この背景は最高等級が比較的簡単取れてしまうような数値だったため上の基準を設けたのですが、建売業者であってもこうした時代の流れに付いていくメーカーは多々あるので間違いなく住宅の品質は上がっているのです。
話しをまとめると注文住宅の多くはUA値0.25~0.47、建売の場合でも断熱性能等級5を取得している物件であればUA値0.6以下が見込まれているので注文住宅と比べて極端に寒い・・・という可能性は限りなく低いと言えるわけです。
室内と外気温の差は実際どのくらい違う?
ここまで、断熱性能やUA値を基準に話してきましたが、家の構造は間取りや立地によって千差万別。実際の住み心地がどうなるのか気になるという方も多いのではないでしょうか。
そこで、ここではクラウドソージングサイトを使って断熱等級5を取得している建売購入者4名に冬場に外気温と室内気温の温度差を実際に計ってもらいました。
外気温 | 玄関 | リビング | 廊下 | 洗面 | 2階居室 |
2.6℃ | 13.4℃ | 14.8℃ | 13.6℃ | 13.4℃ | 12.9℃ |
4.4℃ | 15.7℃ | 16.8℃ | 15.0℃ | 14.9℃ | 16.4℃ |
2.8℃ | 13.9℃ | 15.0℃ | 14.0℃ | 13.7℃ | 13.3℃ |
1.5℃ | 11.8℃ | 13.0℃ | 12.0℃ | 11.3℃ | 11.6℃ |
関東県内在住4名のアンケート回答
※12時間暖房設備を付けずに温度を測定
今回はサンプルが少ないことに加え、断熱性は仕様している窓(複層ガラス)や玄関によっても変わります。また、物件ごとの特性(日当たりや遮蔽物)などで数値はさらに増減されることが予想されますが、結論から言うとおおよそ断熱等級5を取得している物件であれば外気温+10℃以上の室内環境が保ちやすいということがわかりました。
夏の暑さは断熱性能よりも日射を遮蔽する事
冬の寒さは住宅の持つ断熱性能によって大きく差が出てきますが、夏の暑さは断熱性能よりもいかに太陽の日射を遮蔽できるかが重要なポイントになります。
注文住宅の場合であれば、太陽光の入り込む角度を計算して設計を行うことである程度の太陽光の進入は防ぐことができます。しかし、建売では既に間取りが確定した状態での販売となるので、夏に涼しい物件を選びたいなら以下を考慮して探すことをおすすめします。
- 西側に窓が少ない
- 西側が日陰となる物件
- 西・南側で庇によって太陽光を遮蔽できる物件
結論から言いますと、太陽光はほぼ全方向から室内に入りますが西日は特に強烈です!
よくネットでは高断熱なのに夏が暑いという記載を見かけますが、これは大半が西から・・・あるいは庇が機能していないなどの長時間太陽光の進入を許してしまうスペースがあるためです。
そのため、西側に擁壁や建物など日射が遮るものがある場合は見通しこそ悪くなりますが、夏も比較的快適に過ごせるメリットがあることを頭に入れておきましょう。
建売が寒いは感じ方次第
いかがだったでしょうか。昔の建売はよく「外と温度が変わらない・・・」なんて言われていたこともありますが、現在では大きな進歩を遂げていると言えそうです。
ただ、それでも外気温+10℃も場合によっては寒いわけですが・・・これは注文住宅の場合でも間取りによって近い結果が出ることもあるので一概には言えません。(我が家で実証済みです。笑)
もし、家を選ぶ上での第一優先が寒さに強い家ということであれば間取りを考慮した注文住宅の検討をするべきですが、建売でも個人的には過度な心配は不要とも思っています。
埼玉県内であれば仲介手数料の値引き対応をした形で建売の仲介ができますので、気になる物件がございましたらお気軽にお問い合わせください!素敵な住まい実現のために共に頑張りましょう!