家探しを本格的に検討すると、多くの人が突きつけられる想像以上に費用が高いという問題。筆者の元々いたハウスメーカーでも同じ悩みを持つお客様が多くいまして、自分ではある程度妥協をしたつもりでも予算を大幅に超えてしまうと嘆く人がよくいました。
高すぎるけど、家は欲しい・・・今回はそんな悩みを持つ方に確認してほしい6つのポイントについて解説します。
相場から買い時を判断する
そもそも、現在の2022年8月において住宅の購入を検討する上で今は買い時であるのか?この点について解説すると建築費と伴う新築については買い時ではないと言えます。
埼玉県と東京都を中心に物件情報を持つ筆者の実務上の話にはなりますが、実はあなたに限らず高すぎて家が買えないという人は世の中にたくさんおりまして、2021年ごろより以下の要因によって多くの人が新築を購入できなくなっているのです。
- 土地相場の上昇
- 建築資材の高騰
土地相場の上昇
出典:土地代データ 埼玉県より地価推移抜粋
土地の価格はバブル崩壊以降緩やかに上昇基調を続けています。ただ、公示価格を見るにそれほど大きな上昇していないように感じられますが、実際の取引価格となる実勢価格については数年前と比べ大幅に上昇している傾向にあるのです。
なぜ、公示価格がそれほど大きな変動をしていないにも関わらずお客様が購入する土地代が上がっているのかと言うと、それは需要と供給のバランスにあります。
こちらはデータがないので実務上のお話になりますが、現在はコロナ禍において在宅の機会が増えたためか、市場には物件情報が少なく買手の情報が多い傾向にあり都心部に近い・アクセスの良い関東圏は土地不足が続いている状況なのです。
こうなると、取引価格を高めに設定しても土地は売れてしまうので相場通りの金額で動かないケースも出てきます。特に筆者がよく取引を行っていた埼玉県志木市宗岡周辺では数年前で1㎡15万程度で取引されていた土地が現在では1㎡20万程が平均となっています。
一般的な戸建てが建つ100㎡に換算すると前者は1500万、後者は2000万とかなり大きな差が出ていることがわかりますよね。ちなみに埼玉県で言うと東上線や京浜東北線、武蔵野線など都心に1時間圏内で向かえる土地であればおおよそ同じ現象が起きています。
ただし、土地については売却もできる資産となるためこの先の相場次第では今買ってしまった方が得となるケースもあります。
住宅建材の高騰
出典:世界経済のネタ帳
続いて確認するべきは住宅建材の高騰による影響です。
住宅は数万もの部材を組み合わせて作ることから経済の循環に優れた業種と言われることがありますが、裏を返すと鋼材の市場価格が上昇する局面では直接その影響を受けることになります。また、鋼材の他に木造住宅ではウッドショックによる影響も受けていますので建築コストが数年前と比べ10~20%ほど上がっていることが多いです。
そして、建材の高騰については上がっている局面では新築の購入はおすすめできません。なぜなら、建物に使われる部材は高値で購入したとしても建物の法定耐用年数を終えると0円の価値となってしまうからです。
この点はいつまでも資産として残る土地と大幅に違う点であり、高値買いをしてしまったとしても将来的に価値がなくなるので住宅を資産運用の側面としても考えている場合はタイミング的にもおすすめができないと言えるでしょう。
多くの人が高くて買えない理由
物価上昇が叫ばれる昨今ですが、土地や住宅業界においても同様の影響を受けています。そして、最も問題なのはこうした物価の上昇局面にありながら大多数の人の賃金がその物価上昇に追い付いていないことにある、いわゆるスタグフレーションの状態なのです。
簡単な話、スタグフレーションでハンバーガーが100円から150円になっても買うことができます。しかし、総費用3000万の住宅が物価上昇で4500万になると返済比率の関係から銀行ローンが通らないなど物理的に購入ができなくなる方もいれば、相当無理を強いるローンの組み方をしないと買えない方も出てきます。
はっきりと言うと、現状で高くて買えないと思うのはある意味普通のことなのです。
埼玉県では平均世帯年収では買えないエリアがある
出典:厚労省2019年国民生活基礎調査の概況
全国の世帯年収の平均は552.3万円となっています。埼玉県に関しては東京都のベッドタウンとして利用される土地柄、もう少し高いことが予想されますが、仮に世帯年収が552万であると埼玉県では和光市や戸田市、さいたま市の一部のエリアなどでは土地付き注文住宅を建てることはかなり厳しいです。
上記であげるエリアについては30坪の土地で3000~5000万で販売されているため、平均世帯年収の方がこうしたエリアで物件を購入しようとすると銀行の融資が下りない可能性があります。現在はそれだけ購入が難しい局面が来ているのです。
高くて買えないときの対応策
実務で接するお客様は土地が高いことも承知の上で、ある程度の妥協案を持って相談にくることが多いですがその妥協案でもこんなに高いの!?と思われることが多いです。
ここでは、少しでも土地代を抑えるために考えたい項目について解説します。
➀建築条件付き土地に絞る
建築条件付き土地とは、指定のハウスメーカーで請負契約を結ぶこと条件に販売されている土地で個人的には最も費用対効果が高いものであると思っています。
各ハウスメーカーは自社で建物を建ててもらうためにこうした条件付きの土地を保有していることが多く、こうした土地はすぐに建築に取りかかれるように予め造成費用込みの金額となっていたり、仲介手数料が掛からないことから総じて割安であることが多いです。
建築条件付き土地の探し方については、スーモやアットホームにも掲載されていないことがあるため、タウンライフなどの一括資料請求サイトなどから希望の土地情報を記載して資料を取り寄せると各ハウスメーカーからネットにない土地を提示してもらえることがあります。
②バス便の土地にする
土地代が変動する最も大きな要素は駅までの距離にあります。例えば徒歩15分の土地とバス10分の土地とでは、同じ市内であっても500~1000万円ほど金額が変わってきます。
特に埼玉県で言えば都内に通勤する方が多く、駅近は誰もが優先する要素となるため価格が高騰しやすいです。バス便であっても、駅まで自転車で向かった場合など行きたい場所までの時間を事前に計算して納得できるようであれば最も土地代を下げることが期待できる要素になるので優先的に検討しましょう。
③希望エリアより下り方面にする
同じく立地面の問題です。埼玉県を例にすると30坪の土地で和光市であれば3000万円台~となりますが東上線沿い下りの志木市まで下れば500万円近く土地代を下げることも可能です。
路線の下りを選ぶという方法は土地の予算を落としながらも所要時間はそれほど大きく変わらないので注視して土地を探していれば思いのほか条件の良い土地に巡り合えることがあります。
④敷地延長(旗竿地)の土地
複数棟建てることができる分譲地によくある旗竿地は同じ区画内の整形地に比べて100~200万円安く買えるケースが多いです。
旗竿地について選ぶコツは間口の広さであり、一般的に前面道路が4m以上かつ2.5m以上の間口幅をとっている物件であれば車の出し入れもそれほど難しくないので大きなデメリットは感じづらくなります。
ただし、隣地との距離や周辺の環境によって日当たりの確保が難しいケースもあるので、この点は現地でよく確認をするようにしてください。
⑤建物値引きの提言
請負契約を結ぶ注文住宅であれば、建物の費用を下げる値引き交渉も忘れずに行っておきたいところ。一部を除く一般的なハウスメーカーは値引き枠というものが用意されていて、各営業の裁量で値引きできる金額が決まっています。
もちろん、これらはこちら言わないと提示をされないので値引きついては必ず一度は相談する姿勢が大切です。ちなみに値引きのタイミングや金額については以下の記事で解説しているので参考にしてください。
【いくらが相場?】注文住宅の値引き交渉タイミングと最大割引を引き出すコツ
⑥地上げをお願いできる業者を探す
ある意味ウルトラCのプランではありますが、市場に予算内において希望の土地が見つからない場合はハウスメーカーや土地情報を得意とする不動産業者に地上げをお願いしてみるのも一つの手と言えるかもしれません。
地上げとは、現在の所有者に対して直接土地の売却を交渉する手段でありまして、不動産業者は希望エリアの周辺環境に住まう人達や遊休地の所有者に対して売却の交渉を代理で行います。
もちろん成功する保証はありませんが、こうしたことをお願いしておくといざ希望の条件の土地が見つかった場合に優先的に紹介して貰える可能性があり、地上げで交渉に乗ってくれる所有者がいた場合は金額や条件を話し合って決めることになるので相場よりも安く買える可能性もあります。
未公開物件探しははおすすめできない
未公開物件とは、囲い込みに使われた一般媒介の土地や自ら売主の土地などレインズに登録義務のない一部の不動産業者しか知り得ない物件情報を指します。
ちょっと、難しいことを言っていますが要するに土地の中には外部に情報公開をしないものも存在するということです。
こうした未公開物件は不動産屋1件1件訪問することで話を貰えることがありますが、正直現在では業者側にとっても未公開物件のメリットは薄れてきているのであまり期待はできないです。
買えないと思ったら臨機応変に対応しよう
土地が高すぎるという問題ですが、実際に現在は数年前と比べても土地代がかなり高くなっているので相場感から待つこともまた一つの手と言えるかもしれませんし、場合によっては中古物件という選択肢もあるかもしれません。
もちろん、この先土地価格がどう変動をしていくのかは誰にも分かりませんが、一つ言えることは焦って無理な購入することが一番ダメです!
具体的には月々の支払いが厳しいローンを組んで先々にローン破綻・・・なんてことは絶対に避けて欲しいですし、実際にそうした人を仕事柄見ているのでこの点は本当に気をつけて頂きたいです。
あくまでも、自分の支払い能力や無理のない返済を最優先で考えて物件は選びましょう。