戸建てやマンション購入に掛かる諸経費の中でもとりわけ負担の大きい存在である仲介手数料。最近では仲介手数料無料サービスなどを打ち出す不動産業者などもあり、払わなくてもいいなら払いたくないという人も多いのではないでしょうか。
今回は不動産業における仲介手数料についての基本と無料にするための方法についてお話をします。
不動産取引における仲介手数料とは
仲介手数料は文字通り取引に関わる各種手続きを仲介するために支払う報酬のことを指します。売買で物件を購入する場合、一般的に仲介手数料は物件価格の３％+６万が掛かります。3000万の物件であれば96万（税込105万6千）・・・かなりの金額ですよね。
ちなみにこの３％+６万と言うのは宅建業法に基づき決められている上限の報酬なので、安くする分には全く問題ありません。しかし、大半の不動産業者は取引が成立した場合に上限の報酬を求めます。
そして、そんな仲介手数料が発生するケースですが、主に不動産の取引形態は以下のような流れで進んでいくのです。
多くの人は不動産屋に言って物件の紹介をしてもらうことから家探しがスタートするわけですが、紹介される大半の物件というのは不動産業者が保有しているものではありません。不動産業は他業種と比べるとやや特殊な業界で、様々な会社が取り扱う物件を自社で紹介することができるのです。
これはレインズと言われる一般消費者の使うスーモのような不動産業者専用のデータベースがあり、そこに登録をされている物件はどの業者でも紹介することができるというルールからきているもので、未公開物件や他社の紹介を許さない売主物件を除けばどの不動産屋に行っても紹介される物件は変わらないのです。
ちなみに紹介される物件が自社のものなのか、他社の物件を紹介しているのかを見分ける方法があります。それは取引態様を確認すること。
不動産屋に行くと販売図面と言われる物件の概要が記載された紙を渡されるのですが、ここに以下のように書いてあるものは他社の物件を紹介しているということで基本的に仲介手数料がかかります。
上記記載があればそれは本来仲介手数料が掛かる物件であることを意味します。ちなみに不動産屋へ足を運ぶ前にするスーモやアットホームなどの物件ページからでもこの取引態様は確認できます。
仲介手数料無料にできる物件とは？
では、実際に仲介手数料無料になる【売主】物件はどんなものが多いのでしょうか。それはずばり新築戸建て（建売）やリノベーション済みのマンション含む中古物件です。戸建てに関しては飯田グループホールディンクスなどが有名ですよね。
また、中古物件でも不動産業者が一度顧客から物件を買い取り自社でリノベーションを行うことでたくさん市場に出されています。有名なところで言うと、マンションならムゲンエステート、戸建てならカチタスやリプライスと言った会社が挙げられます。
そして、ここが大事な部分なのですが・・・こうした売主の立場にありながらポータルサイトなどに自社の物件を掲載していないケースがあり、仲介会社が売主から広告の承諾を得て【取引態様：仲介・媒介】としてポータルサイトにこれらの物件を掲載しているケースがあるのです。
何が言いたいのかと言うと、本来ネットでは【媒介・仲介】として出ている物件でも仲介手数料を無料にできる可能性があるということです。ちょっとこの辺は難しい話なので可能性はあるんだなと思ってもらえばOKです。
売主と直接取引する難しさ
そもそも、なぜ不動産業界は売主以外の他業者がお客様に物件を紹介できるシステムにしているのか？それは、効率性を考えより多くの物件を一度に比較しながら見てもらうためなんです。各業者で自社の物件だけしか紹介できないとなると、お客様はそれだけ色々な所に足を運ぶ必要があり不動産探しが大変な労力になりますからね。
裏を返すと最初から仲介手数料を0にするために気に入った物件が出てきたら売主をその都度探すとなると、探す手間や内見のたびに違う不動産業者を訪れることになるので・・・仲介業者に紹介してもらうことと比較すると大きな時間のロスとなります。
売主自身が物件の広告を仲介業者に委託していることも
そもそも売主自身が自社の物件をエンドユーザーに対して情報公開していなく、スーモやアットホームなどの掲載を全て外部の不動産仲介会社に任せているという所もあります。そうなると、本来は売主がいるのにネット上では仲介会社が広告を出しているので【取引態様：仲介・媒介】という形になりますよね。
他にも仲介手数料を購入者から徴収するため、わざわざ自社の物件を子会社や関連会社に任せて取引態様を【仲介・媒介】にしている所もあります。
なので、現状の不動産業界は手数料を本来無料にできるのに仲介会社を挟んでしまうケースが非常に多いのです。
そう考える人は多いです。しかし、これは業界全体でNGとされている抜き行為と言われるものなので仮に内見時に建築会社（売主）の特定ができて直接連絡をしたとしても「仲介会社を通して申込んでください」と断られるケースが大半です。
まぁ、本音を言うとこうした抜き行為を黙認して取引してくれるところもまれにありますけどね。。。しかしながら、前提として一度紹介をしてもらった物件はその業者から申込をしないといけないという暗黙のルールがあるので、仲介手数料を払いたくない人は仲介手数料を請求する業者から内見を申し込んではいけないということになります。
気になる新築物件が見つかり取引態様が【媒介・仲介】だった場合、一番確実なのは仲介手数料無料サービスを謳う不動産業者を頼ることです。
なぜ一部の不動産業者が仲介手数料を無料にできるのか？
売主と直接契約なら手数料は無料になると話をしましたが・・・実は仲介会社を挟む場合、上記図のように仲介手数料は取引の対価として売主からも貰うことができます。3000万の物件であれば、あなたと売主の双方から約100万の報酬が入ることになります。そう仲介手数料無料を謳う不動産会社は売主のみの手数料でそれを利益としているのです。
ちなみに大手不動産会社はこの方式をしません。あなたからもほぼ確実に仲介手数料を請求します。これができるできないはその会社の運営方針によって変わってくるからです。
大手不動産会社は仲介手数料を無料にしない
手数料が高額で美味しいビジネスと思われがちの不動産業界ですが仲介業の場合、成約のみが利益につながる構造によって、その種となる反響や問い合わせを呼ぶために大手不動産会社は莫大な広告コストを投じています。
実際に私が過去に在籍していた大手不動産会社もｃｍや大規模なチラシ配布など月数百万単位で広告費を投じており、某ポータルサイトだって目立つところに物件を掲載するとなるとびっくりするくらいの金額がしますからね。
そうした経緯もあって広告費をかけている会社ほど仲介手数料を下げづらいのです。
無料サービスに対応する不動産業者
大手は広告費や運営コストが高すぎて仲介手数料の値引きが難しい。では無料でやってくれるというのはその反対で広告費などの運営費をほとんどかけていない中小～個人で行っている不動産屋に頼ることです。
ちなみに現在では【○○市 仲介手数料無料】などのキーワードでネット検索をすれば仲介手数料無料で対応してくれる業者が見つかるでしょう。
仲介手数料を無料にしている会社のほとんどは広告費や人件費を極力カットした運営方針によりお客様側から貰う仲介手数料を無料とすることができるのです。しかしながら、前述しているようにコストをかけずに経営している会社が主にこの方式を取っているのでエリアによっては仲介手数料無料業者を探すのが難しいところもあるかもしれません。
【方法】ネットで見つけた物件を仲介手数料無料業者に問い合わせる
以上のことを踏まえまして、仲介手数料を払いたくないという場合はネットや現地にて気になる物件を見つけた際に予め見つけておいた仲介手数料無料対応をしてくれる不動産業者に「御社でも○○の物件は紹介できるか？」と確認を取ることです。
こうした形を取ることで他社の案内を挟まずに直接依頼をすることができるので、抜き行為にも該当しません。
まぁ、本音を言うと希望エリアの現地を回って発見した物件ならまだしも、スーモやアットホームで見つけた物件というのは、どこかの仲介業者が広告費を掛けて掲載しているということなので、本来はその会社に問い合わせをするのが筋と言えます。（僕も過去大手にいて被害にあったことが・・・笑）
ただ、仲介手数料の金額を考えると無料にしたいという気持ちもとてもよくわかるので今回執筆をしています。
話をまとめると以下のようなステップで進めばトラブルを起こすことなく仲介手数料を無料にできるはずです。
- 物件を探す
- 近隣の仲介手数料無料業者をネットで探す
- 物件情報を伝え紹介可能か問い合わせる
上記の進め方をすればトラブルに巻き込まれる可能性も少なく仲介手数料を無料にできることでしょう。
仲介手数料無料業者のデメリット
仲介手数料が無料になるというのは住宅購入の場合、100万円前後の金額が直接変わるということでかなりインパクトのある存在ですが、その金額を超えるデメリットが発生することもあり得ます。無料にした場合のマイナス面についてもしっかり理解をしておく必要があると思うので下記を確認して納得した上で不動産探しをしましょう。
業者が売主側の立ち位置になる
仲介を生業とする不動産業者の収益＝仲介手数料です。
買主側の仲介手数料を無料にした場合、その業者は売主と買主のどちらを重視するでしょうか。あってはいけないことなのですが、物件を紹介させてもらい仲介手数料を正規でくれる売主側に偏りやすいと思うのが普通ではないでしょうか。
買主（あなた）との関係は取引が終わると基本的に終わります。しかし、物件を紹介させてくれる売主とは今後も紹介させてもらえる物件がある限り付き合いが続くためです。
本来、不動産仲介とは公正な取引を慣行するためプロの視点で物件の瑕疵や顧客に合わせたアドバイス、取引の手助けをすることで仲介手数料を顧客から頂いています。仲介手数料が0円であると売主と買主の利害関係が絡む何かトラブルが起きたときに仲介会社がどちらを優先した動きをするのか、業者によっては納得のできないことになるかもしれません。
値引き交渉に弱い
新築戸建てやリノベマンションの取引をする上で多くの人が行う値引き交渉ですが、仲介手数料無料の業者であるとあまり期待はできないかもしれません。というのも、値引きをすると物件の価格が下がるので業者が貰う売主からの仲介手数料も下がってしまうことになるからです。
3000万の物件だと仲介手数料が約105万となるわけですが、これ以上の建物値引きが本来できるのならば結果的に損をしていることになりますよね。しかしながら、値引きについては経験上受けてくれない所も多く、できたとしても物件価格の端数（3980なら80万）までというのが業界の慣習だったりするので金銭面で損をするケースはまれかと思います。
信頼できる業者に頼もう
今回は仲介手数料を無料にするケースについて話をしましたが、一番大切なのは信頼できる不動産業者を見つけるということです。特に仲介手数料無料の業者は前述したように規模が小さいところが多く、事務所が自宅兼店舗なんてとこもあったりするので、場合によっては信頼できるのかどうかわかりづらいケースもあると思います。
また、筆者自身は埼玉県の不動産業に従事しておりますので需要があれば仲介手数料無料サービスを始めようかと思っております。もちろんその際は誠心誠意を心がけます。
話がそれましたが、人生最大のお買い物と言える住宅購入は後悔をしないよう進めていきましょう！