建売と注文住宅どっちを買う?選ぶためのコツ

夢のマイホーム。人生最大の買い物と言われながら誰もが一生に一度くらいの経験であって住宅選びは何から何を選べば全くわかりませんよね。

そんな中で特に悩むのが物件価格が比較的安い建売の新築戸建てと全てを一から考える注文住宅。どちらを選ぶか迷っている人は是非本記事を参考にして選んでみてくださいね。

建売と注文住宅安いのはどっち?

建売の方が断然安いです。

そもそも建売がなぜ安くて注文住宅が高い価格となっているのかご存じでしょうか。これにはいくつかの要因がありますが一番は人件費の部分です。

建売は基本的に誰が買うかわからない状態の中で大衆的なデザインや間取りを元に作られています。いわゆるある程度のテンプレートがすでにできている状態なので人出さえ足りていれば何事もマニュアルに沿って素早く行動ができるのです。

反対に注文住宅は購入者がありとあらゆる部分を選べるため、土地探しに付き合う営業マンや打ち合わせに参加する設計士、インテリアコーディネーターとの内装相談、更には打ち合わせの手直しなど建売と比べてあらゆる部分で人が動き時間がかかります。

住宅完成までの期間
建売着工から約3か月
注文住宅着工までにおよそ3~6か月 着工から3~6か月 約1年

建売は着工前も後もマニュアルに沿って動くので大幅な人件費の圧縮を可能としています。

よく総費用では注文住宅も削るところを削れば建売並みの金額で作ってもらえるとの記事をみますが、外構工事や諸費用を含めるとほぼ間違いなく注文住宅の方が動かしている人が多いので金額が高くなります。

ちなみに名前は伏せますが私が勤めていたハウスメーカーで一般的な建売と同じ土地に同じ規模の建物を建てた場合のおおよそ費用の違いを下記表にしていますので参考にしてみてください。

建売注文住宅 (木造軸組工法)
100㎡土地代2000万2000万
建物本体価格(建物面積100㎡)900~1300万1800万
外構工事費用100万150万
諸経費物件価格7~8%物件価格7~8%

土地の値段はいずれも変わりませんが、ここでも実は建売と注文住宅では場合によって大きく異なることがあります。例えば建売の場合だと一般的に完成したらすぐに人が住める状態にしておくため、上下水道の引き込みや汚水桝などが既に設置されていたり申請済みであってその金額込みの費用となります。

しかし、土地から探す場合の注文住宅についてはメーカーにもよりますが土地によって水道管の引き込み費用や公共汚水桝申請費用など追加でかかるものなどもあって当初予想していた資金計画よりも高い金額となってしまったという方も実際結構いらっしゃるのです。

その他にも自由な間取りが魅力の注文住宅ですが、吹き抜けを作ると追加費用が掛かる、スキップフロアを作ると追加費用が掛かるなど間取りの打ち合わせによる要望で更なる費用の増加が発生しえます。

価格面で言えば文句なしで建売の圧勝と言えるのでコスパ重視で考えるなら希望のエリアと間取りを備えている建売を検討してみてください。

資産性があるのは建売と注文住宅どっち?

続いて資産性という観点からみる建売と注文住宅の違いになります。長年住むけども先々に売却を検討している人にとっては気になる部分です。

結論から言いますと資産性については築後すぐに売却ということでなければどちらも変わりがありません。というのも建物自体の価値は木造であれば約20年で0円になってしまうからです。

種類耐用年数
木造22年
軽量鉄骨プレハブ造骨格材肉厚3mm以下27年
重量鉄骨造(骨格材肉厚4mm超)34年

建物の価値は新築時と同じものを現在建てるといくらになるか「再調達価格」という方法を使って計算をします。

建物の価値= 再調達価格 ×(耐用年数ー経過年数)/耐用年数

木造の耐用年数は22年と言われ10年住むと半額、20年住むとほぼ0となると言われております。実際これは実務上でもあてはまり、築20年の上物(建物部分)に対して0円査定になることも多いです。

となるのと、資産性に注目して家探しをするのであれば建売・注文住宅どちらにするのかではなく、資産価値の高い土地に居を構えるということが非常に大切になります。

現在で言えば都心はもちろん、埼玉県や千葉県など周辺の都心にアクセスがしやすい急行が停まる停車駅周辺の土地が高騰をしています。中古マンションの価値が下落せずむしろ上昇しているエリアがあるのも立地の面で優れているためです。

そうなると戸建ての資産価値で注目すべきは土地になりまして、土地値は過去の推移を見るにバブル崩壊以降緩やかに上昇を続けてきているエリアが多いです。そうしたエリアを選ぶと購入時よりも高く土地が売れたなんてことがあるかもしれませんからね。(もちろん先のことはどうなるかわかりません)

建売と注文住宅で性能の違いは?

ここまでの解説では建売に軍配が上がる内容が目立ちますが、家は本来資産価値として見るものではなくいかに快適に過ごせるかが最も大切なテーマですよね。

一度でもハウスメーカーに相談に行ったことがある方はおそらく「建売とは断熱性や気密性が違います」とか「建売より長いこと住めますよ」なんかの話を聞いたことがあるかと思いますが果たしてどうなのでしょうか。この点に関してはおおむね間違いではないと筆者も思っています。

それにはいくつかの理由があります。

断熱性能の違い

まず断熱性能を知る上で知っておいてほしいのUa値と言われるもの。Ua値とは住宅の内部から床、外壁、屋根、天井、開口箇所などを通じて外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値のことであり、簡単に言うとどれだけ熱が逃げづらいかを知るための指標です。

Ua値は数値が低いほど断熱性が高い住宅とされています。

実際に注文住宅においては高性能の断熱材を使用したり、熱が逃げやすいと言われる窓においてアルゴンガスを充填させたペアガラスを採用するなど各社それぞれの施策を講じてUa値を0.3~0.6の間でおさめていることが多いです。

では建売はと言うと、最大手と言える飯田グループホールディングスは新築分譲住宅において全棟最高等級取得を掲げており断熱等性能等級においても最高の等級となる等級4を取得しています。

あれ?それじゃ建売だって問題ないじゃん!!

そうなんです。実は建売自体も現行の基準においては最高等級を取得できているケースもあり生活に支障をきたすほどの断熱性能の差はないとも言えます。

ただ、この最高等級ってUa値にすると0.87以下であればほとんどの場合取得できてしまい、実はこの数値はそれほど難しい基準ではないのです。

注文住宅にとってこの「断熱性」の部分は建売との差別化のポイントにもなっているので最高等級をはるかに超える基準を目指していることが多く、建売については飯田グループこそ全棟最高等級を取得していますが建売業者の中にはUa値0.87以下を越えられないところもあります。

そのため、広義で見ると断熱性については注文住宅の方が優れていると言えるのです。また、この性能差は光熱費などのランニングコストにも差が出てきます。

Ua値の違いでどれくらい年間の光熱費が変わるのよ!?

電気の使用量などで一概に言えることではありませんが、一般的な家庭が東京に建てた100㎡の住宅で

Ua値:0.87  Ua値:0.60

の比較をプログラムを使って計算してみると月に約1000円ほど安くなると言われています。年間すると12000円と結構大きい金額ですが、Ua値を下げるためのコストを考えると金額面では得をするとまでは言えなそうですが、室内の快適性は注文住宅に軍配があがりそうですね。

間取りの自由度

もはやこれは説明をするまでもないと思いますが、注文住宅最大の魅力は自分の思い描いた間取りを元に設計することです。

建売の場合は一般的なファミリー層が住みやすい3~4LDKの物件が大半を占めます。そのため将来子供が増える、両親が同居するなど生活の変化によって家自体が手狭になることも。

対して注文住宅であれば予算さえ許せば6LDKの家だって作ることができます。そのため、将来子供が増える予定など将来のライフプランに合わせた間取りを作りたくて注文建築を選ぶという人が多いです。

また、注文住宅の場合は間取り以外にもインナーバルコニーやスキップフロア、2面ガラスのビューウインドー、勾配天井など建売ではあまり見ないようなデザイン性の高い内装外装を各社で実現できるので視覚的に楽しみたい方や趣味の部屋を作りたいなどの目的がある方にとっては魅力的です。

保証の違いはある?

購入したものの、すぐにトラブルが起きたらそれは困るな・・・

充実のアフターサービスがあれば家もより安心して購入できますよね。

保証面については主に品確法(法律)により定められた保証と各ハウスメーカーが独自で提供するアフターサービスの2段構えとなっていて建売・注文というよりも各々の企業によって内容が異なります。

品確法による保証

自ら売主となる業者は物件の瑕疵担保責任を10年間義務付けられています。わかりやすく言うとどの会社から家を買っても売主であるメーカー側は購入者に対して10年間は基本構造にあたる基礎や骨組み、屋根に対して責任を負わなくてはならないのです。

住宅に重大な影響を及ぼす可能性がある基礎や骨組みなどのトラブルは法律によって消費者がしっかり守られていて保証の対象になります。詳細を述べると長くなるのですがイメージ的には家電を買った時の保証書のようなものです。

ちなみに上記は具体的にどんなトラブルを指しているのかというと、10年以内に突然雨漏り(屋根の異常)がしたり、骨組みに亀裂が入っていたなどのものです。

メーカー保証

品確法に加えて各社では様々なアフターサービスを提供しています。5年ごとに防蟻処理を施したり毎年定期点検を行ってくれるなど。

これは各社によって異なるので保証が手厚い建売業者もあれば反対に保証が薄い注文住宅のハウスメーカーなんかもあるので気になったところを比較してみてください。

建売と注文住宅は結局どっちがいい?

ここまでで建売と注文住宅の違いがなんとなくでも見えてきましたでしょうか。ここでは私が実務で携わったお客様の傾向からお話をします。

結論から言うと、注文住宅は建て替え客が圧倒的に多く、建売は土地なし客が圧倒的に多いということです。

住宅購入において一番気になる部分は多くの人が総費用になると思いますが、土地の有り無しで圧倒的に差が生まれてしまうのでここが一番のポイントかと思っています。

例えば、お客様のご要望内容で多いのが下記のような内容です。

埼玉県で住宅購入考えてます。
・現在は賃貸
・希望は3LDK
・新宿駅へ通勤
・駅から徒歩10分圏内
・勤務先まで1時間以内で
・予算3000万円

少しでも通勤時間を減らそうと駅近を希望されていますがこの条件だと土地代含めると注文住宅の場合、どのハウスメーカーを選んでもほぼ3500万円は超えてしまいます。

埼玉県の駅近の土地は高いところで5000~6000万円台、川越や川口周辺の埼玉高速鉄道沿い下りの方面でも3000万円はします。

現在は市場に出ている物件自体が少ないというのもありますが、駅近の条件を外せないと土地代がネックとなってかなり厳しい条件となってしまうのです。

もちろんここで予算を上げられる方や駅近の条件を外せる方は注文住宅の可能性も残りますが、実際にお話を聞きにくる多くの人は想像以上に高いという印象を受けて建売を選ぶという傾向になるのです。

対して、建て替え相談の方についてはもともとの土地があるので現在の住宅の解体費200万ほどを払えば今ある土地で注文住宅を建てることができます。

昔から土地持ちは強いと聞きますが、現在においても土地のあるなしでこれだけ大きく諸費用が変わってくるのです。

建売と注文住宅の比較

それでは最後に今回の記事のおさらいとしてそれぞれの内容を比較してみましょう。

建売注文住宅
価格面注文に比べ安い図面が完成するまで不明確で建売より高い
断熱性・気密性注文に比べ劣る設計次第で性能を上げられる
間取り選べない1から選べる
保証メーカーによるメーカーによる
工期完成物件ならすぐに引き渡し完成まで6~12か月と長い

建売と注文住宅は自身が何を重視するかで決まるものだと思っています。それが予算なのか間取りなのか?

ハウスメーカーや建売業者はそれぞれが自身の商品の魅力を発信しますがこうして比較してみると見えてくるものもあるので是非参考にして後悔ない住まいの実現をしましょう!

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