建売じゃ満足できない!なんとしても住み心地の良い注文住宅を作りたい!
私自身、前職では建売や中古物件の他に自社でローコストの注文住宅を取り扱うメーカーに勤務していたこともあって注文住宅を建てる目的で話を聞きに来る土地なしのお客様が多くいらっしゃいました。
しかし、ハウスメーカー側がそんなお客様に対して確認をする部分が、果たして自社で建築ができるほどの予算があるお客様なのか?という点です。これは必ず序盤で確認されています。
もしかしたら友人間のあいだで、ハウスメーカーに行ったものの全く相手にされなかったなんて話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
厳しい話ですがメーカー側が予算が足りない土地なしの方=お客さんじゃないと判断をしているためなのです。
ただし、仮に世帯年収が低くて土地がない方でも注文住宅が不可能になるわけではありません。今回は購入に至るまでの流れと良い住まいを選ぶためのポイントについて解説をしていきます。
ちなみに今回の記事は埼玉県内で予算3000万ぐらいで注文住宅を検討している方に対して現実的な視点での解説です。
すべては土地を探すことから
土地なしの方がまずはじめすること。それは住まいを建てるための土地を探すことです。注文住宅で設計プランを考える上で土地が決まらなければ間取りプランの作成などができません。
そのため、まずは第一に土地を探すことから始める必要がありますが、ここで問題となるのが土地代の部分です。結論から申し上げると現在都心部に近づくに比例して土地代が非常に高騰しており、この時点で大幅に予算を超えて注文住宅を諦める方が実務では7割以上でした。
一般的に土地なしの方がローコストメーカーで注文住宅を建てる場合の総費用は以下のような形になることが多いです。
土地代(100㎡) | 2000~4500万 |
建物(建物面積100㎡) | 1500~2500万 |
外工費用 | 100~200万 |
こうして見ると土地代が非常にネックになる部分であることがわかります。ちなみに現在埼玉県内では京浜東北線、埼京線、西武池袋線、武蔵野線、東上線などの路線で駅徒歩10分圏内などを望むならその時点で土地代は3000万以上掛かると思ってください。
また、ネットのアフィリエイトサイトなどにはローコストメーカーの坪単価が20万円とかの記載をみることがありますがおそらくはその金額でできることはないかと思います。
なぜなら大半のハウスメーカーは本体工事価格のみを坪単価としていて、現場管理費や地盤調査代、上水道の引き込み費用などの建築までに掛かる様々な諸費用含まれていないケースがあるためです。
実際に私は当時他社にベンチマークとして伺う機会がありまして資金計画を出してもらっていたのですが、ネットの情報サイトに載っている坪単価で実際にできるメーカーが当時1社もなかったです。(地場の工務店ならもしかしたらあるかもしれません)
ここまで何が言いたいのかというと、注文住宅を検討する場合、坪単価×坪数を建物の予算にしてしまうとオプション追加なども含め確実にその建物予算より高い金額となってしまうことが大半なので余裕を持った土地選びがなおさら大切になるということです。
土地も高けりゃ、建物も思っていた以上に高くなるケースが多いのか・・・
ここで注文住宅を建てられる方と建てらない方には明確な違いあります。それが以下です。
注文住宅を建てられる人の特徴 | 注文住宅を諦める人の特徴 |
予算をあげられる | 予算を上げられない |
駅距離にこだわりがない | 駅距離にこだわる |
指定のエリアがない | 学区などエリアの指定がある |
予算を上げられる人
土地代がこれだけ高いとどうしても予算をあげる必要が出てくることが大半です。
実際前職のハウスメーカーでは各メーカーの注文住宅の資料がまとめて請求できるタウンライフや持ち家計画などのサイトからカタログ請求をよくお客様から受けていたのですが、そこにはそのお客様が考える予算が記載されております。
9割の方は予算内では確実に実現できない内容や要望なのです。多分これは業界人であれば頷いてくれることだと思います。
お客様の中にはスーモで安い土地を見て注文住宅ができると思ったなんて方もいるのですが、よくよくその土地の調査をしてみると解体費が追加で掛かる古家付きの土地だったり、そもそも再建築不可の土地だったので安かったなんてこともあるのです。
注文住宅最大の課題は土地が想像以上に高いという部分に他なりません。実務では予算3000万で考えていたお客様が4000万に引き上げて初めて検討できるというケースがとても多いのです。
駅距離やエリア指定にこだわりがあると注文住宅は難しい場合も
建物の間取りを自由に組めることに魅力を感じて注文を検討する方も多いですが、同時に土地の場所についても同等のこだわりを持つと注文住宅は多くの予算が必要となります。
具体的には駅近エリアや土地の広さなどについてで、特に駅距離は土地価格を引き上げる大きな要因になっています。結論から申し上げると都内の山手線まで40分以内で行けるエリアの駅で徒歩10分となると土地代で3000万を超えるケースが大半です。
反対にバス便の利用を視野に入れられたり、都内から今より下りのエリアに行けるということであれば500~2000万円代の土地も出てくるので、可能性がでてくるでしょう。
土地を不動産やハウスメーカーに実際に紹介してもらうと想像以上に高いと感じるはずです。土地のエリアはどこかで妥協点を見つけないと予算が大幅に超える可能性が大です。
ここまでちょっと希望を削いでしまうような内容で大変申し訳ないのですが、実際に実務上で経験したお客様の大半が予算以内に収まらないのです。これは本当の話です。
どんな土地がおすすめできるのか?
予算少なくても注文実現できる方法ないの?
あります。
これは注文住宅の考えに逆行してしまう部分もあるのですが、建物の内容と同等ぐらいにエリアにもこだわりたいという場合は各メーカーが保有している建築条件付きの土地を選ぶことがおすすめです。
建築条件付き土地とは指定(大半は売主)のメーカーでしか建物を建てられない土地の代わりに周辺相場よりも安く、なおかつ住宅を建てるために上水道やガス管が既に整備されているなど土地だけに側面を当てればメリットしかない土地です。
ちなみに仲介手数料もかからないので一般的な土地よりも遥かに安い金額で買えることになります。
建築条件付き土地のデメリット
上記の説明を見て既にお分かりかと思いますが条件付き土地の場合、指定のメーカーでしか建てられないことになるので、自分がどうしても建てたいハウスメーカーがあるなんかの場合はたまたま希望エリアに土地が出ていない限り実現できません。
この部分については自分が予算、エリア、建物の質、間取りなど何を一番重視するかによって変わります。ただ、断熱性や気密性などに各社違いはあれ注文住宅にする理由が間取りのこだわりなどであればほぼ全てのメーカーで自由に組めることができるはずなので、注文住宅に何を求めているかも大切です。
埼玉県内で3000万円台の注文住宅を実現するには?
全ては土地と建物の価格バランスです。
3000万円でどうしても収めたいということであれば都心から離れた土地値500万円台のエリアを選ぶ、狭小地に70㎡ほどの狭小住宅を建てるなどの選択をもってすれば3000万円台で実現できる可能性があります。
ただし、家の建築には本当に様々なものが関わり、どの部分が坪単価に計上されているのかも各社によって異なります。これは業界としては統一をした方が顧客が明確な予算決めができるはずなのになぜかしません。
具体的にはA社では現場管理費を別会計としていたり、B社では地盤調査費を別会計としていたりなど・・・
ちなみにフラット35利用者調査によると2017年度の「注文住宅の建設費」の全国平均は3,353.5万円であったようです。
注文住宅予算3000万円台叶えられる土地はどこ?
では実際に土地についてはどのあたりまで行けば3000万円台で注文住宅が検討をできるのか?ここでは埼玉県内おすすめのエリアをご紹介します。
入間郡毛呂山町
土地値 | 200~800万円 |
駅 | 東武越生線・八高線 |
毛呂山町は自然豊かな県南西に位置するエリアであり越生線から東武東上線坂戸駅、八高線へのアクセスもできる駅を利用する方にとってもおすすめできるエリアです。
何と言っても最大の魅力は土地値の安さです。100㎡以上の土地が500万円前後で買え、建物に多くの予算を使いたい人にとってはこの上なくおすすめができるエリアです。
土地が500万であれば諸費用込みで考えても建物に2000万円ぐらい使えることになりますから快適な住環境や理想の間取りを実現できるはずです。
デメリットとしてはもちろん都心に比べスーパーなどの生活施設が少なく車は必須ではあります。しかし、毛呂山は街の区画整理もかなり進んでおり整然とした街並みで普段から車を運転する方ならストレスなく過ごせる場所です。
久喜市
土地値 | 500~1000万(約100㎡久喜駅までバス便の場合) |
駅 | JR東北本線・JR湘南新宿ライン・東武伊勢崎線 |
久喜市は県内最大の乗降者数を誇る大宮駅まで約20分で行けるので都心部への電車通勤も現実的な範囲と言えます。
難点としては荒川と利根川に隣接をしているので大部分で洪水ハザードに該当をしてしまうのですが、この点についてはハザードマップの解説についてのページを参考にしてみてください。
ちなみに買い物施設については約250ものテナントが入るモラージュ菖蒲や駅前のショッピングビル「クッキープラザ」など充実をしているので前述の毛呂山と比べると買い物に困ることはありません。
ちなみに今回ご紹介した毛呂山・久喜よりも更に下りまでいけるということであれば3000万円台の注文住宅は現実的に検討できます。
市街化調整区域12号該当者なら川越がおすすめ
土地には誰でも住居の建築ができる市街化区域と建築が基本的にできない市街化調整区域に分かれていることをご存じでしょうか?
これは一部の方しかできないことになるのですが、要約すると6親等以内の親族が20年以上その市街化調整区域に住んでいる場合、自分自身もその市街化調整区域に住居を建てられるというレアなケースがあります。
これは都市計画法34条12号に定められているものであり、実際は市町村によって条件が異なったりと詳細な調査を必要とするのですが、県内には川越をはじめ複数の市町村で市街化調整区域12号に家を建てられる該当者がいるのです。
そしてこの市街化調整区域12号に該当する方は例えば川越市の場合、200㎡などの広大な土地が1000万以下で買えたりもしますのでかなりお得になることも。市街化調整区域の土地は一般の人が家を建てられない土地のぶん、相場より大幅に安くなっているのです。
ただ、これは特例的なものなので全ての人に当てはまるわけではなく、また詳細を書くとかなりのボリュームになるので後々記事にするつもりです。
土地なしでもあきらめなければ注文住宅はできる
今回の記事は少し現実を突きつける部分もあったりで申し訳なく思う部分もありますが、土地の値段をどれだけ抑えるかによって注文住宅は実現できます。
実際、建物面積100㎡の家を建てようと思えばローコストメーカーだと本体工事価格1500~2000万ぐらいでできるはずなので、そこから土地の予算を減らすのか、それとも建物面積を減らすのかなど・・・様々な部分で調整をしていくことが大切と言えるでしょう。