【違法】不動産の囲い込みとは?99%防ぐ対策を伝授します

囲い込みという不動産の闇をご存じでしょうか?

 

囲い込みとは不動産の売却を1社に依頼した際、その不動産会社が他社からの紹介を許さない悪質な行為です。後に詳細と対策を後述しますが、これは売主にとって本来売れるタイミングだったのに売れないという大きな機会損失を被ることになるもので、売主側にとって1mmもメリットがない行為であり、撲滅すべき不動産業界の悪しき慣習だと思っています。

 

ただ、この囲い込みについては知っていないと不動産業者にカモられたり、あなたの知らない所で大損をしているケースが大半を占めるので今回はこの囲い込みについて売主であるあなたができる対策について解説します。

 

この囲い込みは大手不動産会社でも実際によく行われる行為です。正しい知識を持って対処していきましょう。

 

囲い込みとは

 

持ち家や土地などの不動産を売却する場合、一般的には不動産会社に相談して媒介契約を交わし、その不動産会社から市場へ売り物件の情報公開を行ってもらうことになります。この頼んだ会社をA社としましょう。

 

A社と売却の専任媒介契約を交わすと、A社はレインズと言われる不動産業者専用のスーモのようなポータルサイトへ登録を行います。

 

そして、原則このレインズに登録された物件はA社に限らずどの不動産業者でも物件の紹介が可能になります。

 

 

A社がレインズに登録を行うことで、情報を見た他社の不動産業者から様々な問い合わせが入るようになります。

 

B社
●月●日に御社掲載の物件を内見したいお客様がいます!

 

C社
当社に御社掲載の物件を購入したいというお客様がいるのですが・・・

 

などなど。しかし、ここでA社はこうした他社からの問い合わせを何かと理由をつけて全て断るのです!

 

なぜこんなことをするのか?売主からすれば早いうちに契約になるのは悪いことではないし、全国の不動産業者から問い合わせがあれば価格面でも損をすることなく売れそうなのになんで断るのか不思議ですよね。

 

実はこの囲い込みは不動産業界の報酬形態が関わっていまして、囲い込みをする業者は下記の両手仲介にひたすらこだわっているのです。

 

両手仲介と片手仲介

 

不動産仲介の報酬は主に2パターンあり、売主と買主の両者から宅建業法で定められる報酬を得て会社を運営しています。

 

先ほどのA社のケースで言うと、売主であるあなたは不動産取引が成立した場合にA社へ仲介手数料を支払うことになりますが、ここで仮にA社が買主を自社で見つけた場合には買主からも仲介手数料を貰えるのです。これがいわゆる上記の両手仲介というものです。

 

たいして、片手仲介とは買主を他社が見つけた場合に起きることで、他社が連れてきたお客様が契約になったら買主は上記図のような不動産会社Bに報酬を支払います。

 

図をみればわかると思いますが、A社の利益を考えると手数料が2倍になることから自社で買主を探した方が2度美味しい思いをすることになりますよね。そう、上記の図で言えば片手仲介を意図的に行わないのが囲い込みの実態です。

 

 

これは違法でありながら、両手仲介をしたいがために何かと理由を付けて他社の紹介を断る業者というのは多く、売主からすれば知らないうちに大きな機会損失を被っていることになります。

 

囲い込みをされることによる売主の損害

不動産取引において1社だけが買い手となるお客様を探すよりも全国の不動産業者に情報を公開して買い手を募集するのは言わずもがな後者の方が買い手は集まりやすいと言えます。

 

しかし、この囲い込みは売主にとって機会損失となるだけでなく、金銭的な被害を被るリスクがあるのです。これは売主にとって明確な被害となるので実例を交えて解説したいと思います。

 

囲い込みのせいで安値で売却することに

 

例えば売却の契約をしてから1週間後に、他業者のお客様の中にエリアや価格帯の条件マッチする方がいて、A社に対して購入の意思表示をしたとします。しかし、A社は両手仲介をしたいのでB社の提案は嘘をついて断りました。

 

売主(あなた)からすれば関係ない手数料のために売れる機会を逃してしまうことになっています。もちろん、こんな他社から買手がいると問い合わせがあったことをA社は売主に伝えないので知らないうちにこれは起きています。

 

そして、A社は他社からの紹介を拒み続け、自社で買い手をせっせと探していますが中々自社のネットワークだけでは買い手が見つかりません。するとA社は売主に対してこんなことを言ってきます。

 

 

物件価格の値下げ交渉です。A社の言い分はしばらく売りに出しているものの、中々売れないので値下げをしませんか?という主張ですが、前述のようにそれはあくまで自社で買手を見つけるための発言です。

 

本来は他社の紹介を借りることで4000万円で売れていたのに、あくまでA社が自社での客付けにこだわるとこのようなことが起きます。売主からすれば200万円の損失を生んでいることになり大きな痛手ですが、A社にとっては4000万の片手仲介で終わらせるよりも、3800万で両手仲介を狙った方がなお利益が全然違うのです。

 

4000万の片手仲介報酬:売主から138万6千 買主から0円 合計138万6千の手数料収入
3800万の両手仲介報酬:売主から132万 買主から132万 合計264万の手数料収入

 

がめつい業者が両手仲介を狙う理由がわかると思います。仮に物件価格を3000万円に値下げしたとしてもA社は4000万での片手に比べて利益が多いわけです。

 

このように囲い込みをする業者は両手仲介ができるまで値下げを続けてでも狙う傾向にあるので売主からすれば金銭的なリスクも負っていることになるのです。

 

【囲い込みをされると】

  • 物件が売れるのに時間が掛かる
  • 値下げされるリスク

 

自分でやる囲い込みを防ぐ対策

 

囲い込みはこのように、業側には手数料収入が増えるという大きなメリットがあるものの、売主にとってはなんら得なことはありません。むしろ全てがデメリットです。

 

もちろん、売却の相談時点ではこんなことが伏せられたまま話が進むので売主からすれば相談している会社が囲い込みをするのかどうかを見極めるのは実際かなり難しいです。そのため、前提として相談の時点で囲い込みはしないでくださいと予め釘をさしておくことが大切です。この言葉を知っているだけで業者の考え方が全然変わりますからね。

 

また、売却の媒介契約後であればその会社が囲い込みをしているかどうかを判別できます。もし下記にあげることを実践して囲い込みをしてると判断できれば、媒介の契約は解除することもできるので別の不動産業者へ頼むことも一つの手です。

 

囲い込みを判別する手順

 

媒介契約をしてから自分の物件が囲い込みをされているのかを判別するには他業者のふりをして抜き打ちでチェックをするのです。具体的な手順は以下となるので気になる方は実践してみてください。

 

その1:物件確認の電話をする

 

媒介契約先が知らない電話番号を使って下記の文言でまず電話をしてみてください。またもう一点大切なことがありまして、媒介業者に電話を掛ける際はスーモなどに掲載されている番号やフリーダイヤルではなく、業者専用の番号に掛けることです。フリーダイヤルやスーモに掲載している番号に掛けてしまうと単純お客様からの電話と相手は認識してしまうので、ここは気をつけてください。

 

ちなみに業者専用の番号は一般的に042などの市外局番から始まる番号であり、多くの業者はホームページにお客様用のダイヤルと業者間の番号を両方掲載しているので後者の方に掛けます。

 

番号の確認が終わったところで実際に電話となりますが、流れは100%以下の形に進むのでご安心を。

 

あなた(売主)
お世話になります。○○(架空の会社名)の○○(名前)です。物件確認お願いします。

 

媒介業者
お世話になります。どうぞ
あなた(売主)
○○市○○(地名)の中古○○円(売出価格)です。

 

媒介業者
ご紹介可能です。
あなた(売主)
ありがとうございます。ご紹介頑張ります。(終話)

 

ポイント1:紹介可能か

ここでご紹介可能です。と言われればまずは安心できます。囲い込みをする業者の中にはこの時点で下記のような発言をしてきます。

 

  • 契約予定です
  • 現在一番手がいます
  • 現在売り止めとなっております
  • 申込が入っています
  • 媒介切れるので紹介できません

 

上記のように何かと断り文句を入れてきます。

 

「契約予定です」なんて他業者が言われれば確認する余地がないので諦めますが、売主であるあなたの場合は仮に申込が入っていれば報告が事前に入るはずなので嘘かどうかすぐ見抜けますよね。ここで上記のような断りを入れてきたら後は事実確認を行って媒介契約を解除するのも一つの手です。

 

内見を承諾してくれるか確認する

 

 

先ほどの通話で囲い込みはほとんど見抜けますが、中には「紹介可能です」と言いつつ買い手が申込の決め手となる内見を拒否する業者もいます。こちらのケースは上記の通話に+αの問いかけをすることで対処できます。

 

媒介業者
ご紹介可能です
売主(あなた)
ありがとうございます。●月●日●時に弊社のお客様が内見を希望しています。名刺を送るので内見させてもらえないでしょうか?

 

媒介業者
ありがとうございます。では弊社FAX番号に内見申込書と名刺をお送りください。

 

売主(あなた)
そのように致します。ご紹介頑張ります。(終話)

 

内見の申し込み自体は上記のやり取りで行われており簡単にできます。上記のように言われれば安心です。

 

ここで、内見の承諾をせず下記のような文言でかわしてくる業者もあります。

 

  • 担当者が不在でして~
  • 実は申込入ってまして
  • 鍵をまだ設置していなくて~
  • 部屋の修繕終わってないので内見できません

 

もし、言われた内見断りに対して違和感を感じるようであればすぐに担当者へ事実確認を行いましょう。以上のトークを行うことで囲い込みの99%は判別できます。

 

専任媒介契約と一般媒介契約

 

売主となるあなたが知恵をつけることで不動産悪の慣習である囲い込みは防げます。また、ここで媒介契約の種類である専任媒介契約と一般媒介契約について話をしておきます。

 

不動産を売却するにあたって仲介業者との契約方法ですが主に提案される媒介契約は2パターンあり専任媒介と一般媒介契約です。これらの違いは売却を1社にしか頼めないのが専任、複数社に売却の媒介を頼めるのが一般媒介となりまして、囲い込みが多いのは1社にしか頼めない分、圧倒的に専任媒介契約の場合です。

 

ただし、だからと言って囲い込みを防ぐために複数社に売却を依頼できる一般媒介も正直あまりおすすめできません。

 

なぜなら、一般媒介の場合は複数社が関わるということでどの会社も広告費などをあまりかけないようになるからです。不動産業界は契約した1社が報酬を貰える仕組みなので、仮に高額な広告費を掛けても他の媒介業者が契約をしてしまうと今まで掛けた広告費が全て無駄になるためです。

 

今ではスーモやアットホームなどで気軽に物件を探せる便利な世の中となっていますが、不動産業界は単価が高いぶんその物件を掲載するのもびっくりするような金額なりますからね。

 

また、前述したレインズについて一般媒介は登録義務がないので実はこちらも別のやり口で囲い込みをする方法があり、リスクがないわけではありません。

 

専任・一般どちらをとってもリスクがあるということです。

 

不動産の売却って大変・・・と思うかもしれませんが、所有している不動産をスムーズに売却するためには信頼できる不動産業者を時間をかけて探し専任媒介契約を結びましょう。そして万が一、契約後に囲い込みや不誠実な対応が見られた場合でも契約自体を解除できるのでリカバリーはできます。

 

筆者
囲い込みのやり口を知っているだけで抑止力となります。後悔のない売却活動をしましょう。
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