【倒産・相続】空き倉庫と土地の活用方法

昨今では事業主の高齢化などによって倒産や事業を畳む方が増えているそうです。

 

多くの事業主が倒産時に財産の整理を行うことになりますが、特に自社(自分)で保有する土地や作業場として利用していた建物をはじめとする不動産については金額が大きいことから可能な限り多くの資産を残したい・・・そして正しく運用をしたいと誰もが思うものです。

 

今回はそんな不動産の活用方法で、とりわけニッチなジャンルに入る「倉庫」について相続をした場合や倒産時の資産整理についておすすめの運用方法をお話していきます。

 

空き倉庫不動産の活用方法

 

事業を畳むことによって使わなくなった土地や建物を財産に変えるには主に2つの方法がありますが、これらは時代によっておすすめできる内容が異なります。

 

使わなくなった土地・倉庫を売却する

 

多くの人が真っ先に思いつくのは、使わなくなった土地や建物は固定資産税をはじめとする維持費等が無駄になるので手っ取り早く売却をしてしまうことです。

 

特に事業用として使っていた倉庫であれば土地の面積にして50坪を越えるケースも多く、まとまった金額で不動産業者や買取業者に購入してもらえることが予想できます。

 

しかし、ここで実務上の話をさせてもらうと各社が査定する買取金額は建物の解体費やアスファルトを剥がし住宅用地として造成を行う費用を差し引いての提示となるため、買取金額が思うように伸びないケースがあります。

 

実際に埼玉県川越市において、私自身が父の高齢化を機に引退し空き倉庫となった270坪の土地を売却した際は以下のような査定となりました。

 

埼玉県川越市 270坪
都市計画:第二種住居地域
坪単価:21万
売却金額:5670万
買い手:建売業者

 

空き倉庫付き土地の売却デメリット

 

上記の金額を見て高いと思われるでしょうか?実は当時の路線価などを見るにこの金額は決して高い金額ではありません。むしろ相場から1500万以上安く買われています。

 

倉庫が付いているような広大な土地であると買い手が分譲業者をはじめ限られてしまうことが多く、坪単価が下がるケースもあるのです。

 

また、建売業者ということは、今ある建物を全て解体して上下水などのインフラ整備を行い新たなエンドユーザーへ販売をするわけですから、こうした解体費や造成費用も売却金額から差し引かれるケースがあります。

 

売却をすれば、土地自体は手離れすることになるので管理や固定資産税の支払いから免れることができますが、資産運用として最大限活用ができたかと言うと疑問が残ることもあるのです。

 

筆者
売却はその場で完結する資産整理です。その時の相場に大きく影響を受けるのでとにかく手放したいという方以外は慎重に検討した方がよいかもしれません。

 

倉庫を賃貸に出す

 

続いて資産運用の代表格である使わなくなった倉庫の「賃貸」について考えてみましょう。築年数の経った空き倉庫なんて需要があるの?と思うかもしれませんが、倉庫の需要は実はかなりあります。

 

実務で実際に倉庫仲介・サブリース業に携わる私の経験から言わせてもらうと賃料の設定を誤らなければ入居者は近いうちに現れます。これは、倉庫業に携わる業者は物流事業者や倉庫をテナントとして利用する小売店などの情報を持っているからです。

 

余談ですが、私は前述の土地を売却した際に失敗したと思っており、こうした資産運用を学びたくこの業界に参入した経緯があります。

 

そして、問題は賃料の設定ですが、こちらは倉庫・テナント業において経験豊富な不動産業者であれば利回りや取引事例を使い適正な価格を算出することができるので、提示された賃料と固定資産税・修繕費などの支出を計算したうえで判断することができます。

 

賃貸であればその場限りではなく、お金を生み出す財産として所有を続けながら、いざとなれば売ることもできるので資産を生み続けるのであればしばらくは所有する「賃貸運用」が得と思えるのではないでしょうか。

 

中古倉庫ならではのメリット

 

実は賃貸をおすすめする理由には「建材の高騰」という部分も挙げられます。

 

倉庫は主に鉄骨鉄筋にコンクリートを打設する簡単な作りになるのですが、材料となる建築資材が軒並み上昇を続け、新築で作る倉庫はほとんど利回りが取れない状態になっているのでますます中古倉庫に需要が高まっている現状があるのです。

 

筆者
ウッドショックによる住宅価格の高騰が叫ばれていますが、倉庫や工場にも建材高騰の魔の手が広がっています。

 

筆者の会社では不動産投資家様に対して倉庫の建築相談も行っていますが、現在はほとんど利回りを取ることができない状況が続いています。実際に私が見積もりを出した倉庫は以下のような形となりまして今から建てることが厳しいということがわかるかと思います。

 

 

273坪で7572万です。坪単価にして27万円であり、これは概算見積もりになるので実際には内部設備、地盤調査費や法令制限等の追加費用が掛かることが予想されます。

 

過去には倉庫も坪単価20万円弱で建てられる時代がありましたが、建材の高騰などにより軒並み建築費が上がっています。建築費が上がっているということは新規で建てる人が少なく、既存の中古需要が上がるという理由もおわかりになるのではないでしょうか。

 

筆者
開業などにより倉庫を使いたい人がいても新規で建てづらい現状があります。こうした事情もあり賃貸はおすすめできると言えるのです。

 

貸倉庫に精通した業者が少ない

 

これもまた倉庫を資産として運用する上でのデメリットになるのですが、倉庫業の知識に長けた不動産業者が少ない点が挙げられます。アパートマンションの業者は数あれど、倉庫の賃貸や運用となると地域によっては1社も対応していない場合すらあります。

 

ちなみに倉庫に精通していない業者であれば賃貸のノウハウを知らないので相続や倒産で遊休地となった倉庫はまず売却を勧めてくるはずです。これは選択肢を絞ることになりオーナー目線では非常にもったいない・・・

 

まぁ、ニッチな業界と言えばそれまでですが、賃貸の相談にも乗れる業者がいないからと言って自分で全てやろうとするとテナントの入居もオーナー自身でやることになり、契約書作成や原状回復の交渉なども大きなハードルです。・・・というかほとんど一人で出来るという方はいないと思います。

 

もし周辺に対応した不動産業者がいないということであれば埼玉・東京・群馬県であれば私が相談に賜ることもできますし業者の紹介もできるのでお問い合わせください。

 

資産運用は慎重に

 

愛着のある土地や建物を金銭的にも最大限活かして活用するとなると多角的な視点が大切です。今回は限られた場面の解説をしていますが、私自身が今思えば非常にもったいないことをしてしまったという経験から記事を書いているので是非当記事をご覧のあなたも後悔ない運用を目指してください。

 

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